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[HQR15-06] 福井県水月湖の年縞堆積物を用いた過去5万年間の堆積速度変化
キーワード:堆積速度、水月湖、年縞、地震
水月湖は福井県若狭町に位置する三方断層の活動に関連した構造湖のひとつである(岡田,2004).湖底には7万年間にわたって毎年形成された葉理(年縞)のほか(Nakagawa et al., 2012),地震や洪水などに関連した数多くのイベント堆積物が保存されており(Schlolaut et al., 2014),古気候や古環境変化を記録している.1993年と2006年には湖の中央でSG93及びSG06コアの掘削が行われた.これらのコアは800点を超える放射炭素年代測定と高精度な年縞の計数(Marshall et al., 2012; Schlolaut et al., 2012)から,非常に高精度な年代モデルが構築された(Staff et al., 2011; Bronk Ramsey et al., 2012).近年,福井県によってSG06コアの掘削地点から500 m東の地点で新しいSG14コアの掘削が行われた.本研究では,SG06コア及びSG14コアと高精度年代モデルを用いて約5万年間の堆積速度の変化とその要因を推定した.
SG14コアは4つの掘削孔(E, F, G, H)からなり,それぞれ一部が重複するように掘削を行った.得られたコアは半割後,酸化する前に明るさを厳密に調整した環境下で写真撮影を行った.また,1 mのジャイアントスラブの軟X線写真の撮影を行った.SG06コアの高精度年代モデルを本コアに適用するために,堆積物中に含まれるイベント堆積物を用いて,300層準以上で層序対比を行った.
0-50 kaの期間に着目すると,SG14コアの堆積速度は約0.5 m/kyで,SG06コアの深度と非常に強い相関を示す.堆積速度は13 ka以降大きくなり,数千年周期のサイクルを示す.これらのサイクルはグローバルな環境変化に関連している可能性がある.さらに,いくつかの層準では堆積速度が急激に大きくなり,SG06コアの堆積速度との比較からそれらは2つのタイプに分けることができる.同期タイプはそれぞれのコアで同時に堆積速度が増加しており,相対的に大規模なイベントの影響を受けているようである.年代モデルに基づくと,本タイプのイベントの一つは1662年の寛文地震に対比される.したがって,本タイプはテクトニックイベントに対比される可能性がある.一方で,非同期タイプはそれぞれのコアで明らかに堆積速度が異なっており,タービダイトのような相対的に小規模かつ局所的なイベントの影響を受けていることを強く示唆している.結果として,SG14コアとSG06コアの高精度対比に基づいて,グローバルな環境変化,テクトニックイベントや局所的なイベントを検出することができた.将来的には,水月湖の堆積プロセスを理解するために,SG14コアとSG06コアとの対比を進める必要がある.
最後に,SG14 coring membersのRichard A. STAFF氏,北場 育子氏,北川 淳子氏,原口 強氏,Victoria C. SMITH氏,Danielle McLean氏,五反田 克也氏,Paul G. ALBERT氏,兵頭 政幸氏,鈴木 克明氏,松下 隼人氏,山崎 彬輝氏には記して謝意を表する.
SG14コアは4つの掘削孔(E, F, G, H)からなり,それぞれ一部が重複するように掘削を行った.得られたコアは半割後,酸化する前に明るさを厳密に調整した環境下で写真撮影を行った.また,1 mのジャイアントスラブの軟X線写真の撮影を行った.SG06コアの高精度年代モデルを本コアに適用するために,堆積物中に含まれるイベント堆積物を用いて,300層準以上で層序対比を行った.
0-50 kaの期間に着目すると,SG14コアの堆積速度は約0.5 m/kyで,SG06コアの深度と非常に強い相関を示す.堆積速度は13 ka以降大きくなり,数千年周期のサイクルを示す.これらのサイクルはグローバルな環境変化に関連している可能性がある.さらに,いくつかの層準では堆積速度が急激に大きくなり,SG06コアの堆積速度との比較からそれらは2つのタイプに分けることができる.同期タイプはそれぞれのコアで同時に堆積速度が増加しており,相対的に大規模なイベントの影響を受けているようである.年代モデルに基づくと,本タイプのイベントの一つは1662年の寛文地震に対比される.したがって,本タイプはテクトニックイベントに対比される可能性がある.一方で,非同期タイプはそれぞれのコアで明らかに堆積速度が異なっており,タービダイトのような相対的に小規模かつ局所的なイベントの影響を受けていることを強く示唆している.結果として,SG14コアとSG06コアの高精度対比に基づいて,グローバルな環境変化,テクトニックイベントや局所的なイベントを検出することができた.将来的には,水月湖の堆積プロセスを理解するために,SG14コアとSG06コアとの対比を進める必要がある.
最後に,SG14 coring membersのRichard A. STAFF氏,北場 育子氏,北川 淳子氏,原口 強氏,Victoria C. SMITH氏,Danielle McLean氏,五反田 克也氏,Paul G. ALBERT氏,兵頭 政幸氏,鈴木 克明氏,松下 隼人氏,山崎 彬輝氏には記して謝意を表する.