日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-QR 第四紀学

[H-QR15] ヒト-環境系の時系列ダイナミクス

2016年5月26日(木) 15:30 〜 16:45 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*須貝 俊彦(東京大学大学院新領域創成科学研究科自然環境学専攻)、水野 清秀(国立研究開発法人産業技術総合研究所地質情報研究部門)、米田 穣(東京大学総合研究博物館)

15:30 〜 16:45

[HQR15-P07] 千葉県九十九里低地(真亀~片貝地区)の浅部地下構造

*山口 和雄1伊藤 忍1 (1.産業技術総合研究所)

キーワード:九十九里低地、反射法地震探査、沖積層基底、埋没谷

千葉県九十九里低地の沖積層下の埋没谷地形について,その位置や形態を解明するために,深度10数m~300mを目標深度として反射法地震探査による浅部地下構造調査を実施した.調査位置は,既存の地質図(関東地方土木地質図編纂委員会,1996)で沖積層基底面の谷地形が推定される千葉県九十九里町真亀~片貝地区の海岸線に沿った陸域である.主な調査仕様は,測線長:4486m,震源:P波油圧インパクタ(JMI200),垂直重合数:10回,発震点間隔:2m,発震点数:2242,受振器:GS20-DM(28Hzシングル),受振点間隔:2m,受振点数:2244,同時受振:192ch,展開:受振点192chの1~48点目まで発震後に48点を測線先端に移動,最大オフセット:382m,探鉱機:DSS-12,等である.垂直重合と振幅調整適用後の発震記録で,初動は最大オフセットまで達しており,多重反射の可能性はあるが往復走時500ms程度まで反射波が見られる.発震点・受振点は海岸砂浜の波打ち際に設置し,地表面と震源・受振器のカップリングは良好だったと考えられる.CMP重合時間断面で往復走時10数ms~250msに反射面が認められる.走時20ms~30ms付近の反射面は強振幅で連続が良く,途中2箇所の幅数100mの区間で不明瞭となるが,測線全体に広がり,非常に緩く北に傾斜する.この反射面は,地層速度を1.6km/sと仮定すると標高-16m~-24mに相当し,上記地質図の沖積層基底標高より10m~20mほど浅く,小松原(2015)がまとめた周辺の既存ボーリングデータとはおよそ一致する.この反射面は沖積層基底に相当すると考える.反射面の不明瞭な区間のうち南側の方は,発震記録のニアオフセットで初動付近がコヒーレントなノイズに覆われる.走時40ms~70msに長さ100m~200mの断続的な反射面が分散的に複数存在する.これは天然ガス(上ガス)の湧出(吉田ほか,2012)に関係するかもしれない.走時100ms~170msは反射面が不明瞭で,走時170ms~250ms付近は強振幅で凹凸のある反射面が見られる.沖積層基底以深は上総層群の地層である.