14:45 〜 15:00
[HRE20-10] 非線形動的応答解析によるCCSサイトにおける遮蔽層の地震時安全性評価
キーワード:CCS、非線形動的応答解析、地震時安全性評価
CO2地中貯留サイトにおいて非線形動的応答解析をおこない,地震時の遮蔽層の安全性を評価した。適用した場所は長岡CCSサイトである。入力地震動は2004年10月23日に発生した新潟県中越地震(Mw6.6)の際,当サイトに設置した地震計で得られた波形をもちいた。解析に必要な地盤の工学的特性値は,実際にサイトで得られた数値を入力した。
動的解析にあたっては,地表面で記録された地震動に対して,水平成層モデルを仮定してSHAKE(一次元応答解析プログラム)により基盤層(椎谷層に仮定,深度1,370m)からの入力波形を設定した。この波形を解析モデルに直接入力して運動方程式をNewmarkのβ,γによる直接積分法を用いて解いた。地震応答解析には岩盤を不連続性岩盤としての取り扱いが可能で,複雑に褶曲する地質構造にも対応可能なMYM(二次元有限要素法解析)を使用した。
地盤の強度変形特性は,拘束応力依存性を考慮したDuncan-Changの構成則に除荷特性を付加して,非線形繰り返しモデルを採用・実施した。本特性は,水平成層と拘束応力を一定と仮定した Hardin-Drnevich骨格曲線を,任意方向の地層で拘束圧に依存させ,強度特性としてMohr-Coulombを組み合わせた変形特性である。解析範囲は圧入井を中心に幅約1.2km深さ約1.4kmの範囲である。
遮蔽層の最大剪断ひずみ応答は,地震終了後に1.1×10-4程度発生した。安全率応答は当初の1.925から地震終了後1.875に0.05低下した。これは全体の2.5%程度の低下に相当するもので,安全性への影響は小さいものと判断できる。
現在まで,坑井間弾性波トモグラフィ測定によるCO2挙動モニタリングの結果,CO2は圧入後から2つの地震を経て現在まで貯留層内に留まっており,漏洩の事実は認められていない。今回の非線形動的応答解析結果ではそれを支持する結果,つまり地震後においても地盤の安定性を損なうことはないことを確認した。今回実施した非線形動的応答解析手法を用いて性能予測をおこなうことにより,今後計画されるCO2貯留サイトにおいても地震発生に伴う深部岩盤の安全性評価が予測可能になることを示すものである。
謝辞:第5,第6著者らは経済産業省からの委託事業「二酸化炭素回収・貯蔵安全性評価技術開発事業」の一部として研究を行った。記して謝意を表します。
動的解析にあたっては,地表面で記録された地震動に対して,水平成層モデルを仮定してSHAKE(一次元応答解析プログラム)により基盤層(椎谷層に仮定,深度1,370m)からの入力波形を設定した。この波形を解析モデルに直接入力して運動方程式をNewmarkのβ,γによる直接積分法を用いて解いた。地震応答解析には岩盤を不連続性岩盤としての取り扱いが可能で,複雑に褶曲する地質構造にも対応可能なMYM(二次元有限要素法解析)を使用した。
地盤の強度変形特性は,拘束応力依存性を考慮したDuncan-Changの構成則に除荷特性を付加して,非線形繰り返しモデルを採用・実施した。本特性は,水平成層と拘束応力を一定と仮定した Hardin-Drnevich骨格曲線を,任意方向の地層で拘束圧に依存させ,強度特性としてMohr-Coulombを組み合わせた変形特性である。解析範囲は圧入井を中心に幅約1.2km深さ約1.4kmの範囲である。
遮蔽層の最大剪断ひずみ応答は,地震終了後に1.1×10-4程度発生した。安全率応答は当初の1.925から地震終了後1.875に0.05低下した。これは全体の2.5%程度の低下に相当するもので,安全性への影響は小さいものと判断できる。
現在まで,坑井間弾性波トモグラフィ測定によるCO2挙動モニタリングの結果,CO2は圧入後から2つの地震を経て現在まで貯留層内に留まっており,漏洩の事実は認められていない。今回の非線形動的応答解析結果ではそれを支持する結果,つまり地震後においても地盤の安定性を損なうことはないことを確認した。今回実施した非線形動的応答解析手法を用いて性能予測をおこなうことにより,今後計画されるCO2貯留サイトにおいても地震発生に伴う深部岩盤の安全性評価が予測可能になることを示すものである。
謝辞:第5,第6著者らは経済産業省からの委託事業「二酸化炭素回収・貯蔵安全性評価技術開発事業」の一部として研究を行った。記して謝意を表します。