[H-RE20] 地球温暖化防止と地学（CO2地中貯留・有効利用,地球工学）

[HRE20-14] 二相流の流動様式が泥岩の変形に与える影響の検討

*後藤 宏樹^1,2、徳永 朋祥²、愛知 正温² (1.日本学術振興会特別研究員PD、2.東京大学)

キーワード：二酸化炭素地中貯留、泥岩、変形、二相流動、室内実験

二酸化炭素地中貯留においては，地中への二酸化炭素の圧入に伴い岩盤が変形するため，地表面変動が発生しうる。従って，地表面変動を予防もしくは制御するために，二酸化炭素の浸入に伴う岩盤の変形の理解が必要となる。本研究では，岩盤を構成する岩石の一つである泥岩について，二酸化炭素が浸入した場合の変形を理解するために，室内実験を実施した。具体的には，水で飽和した円柱形試料（上総層群梅ヶ瀬層の泥岩）に対して，静水圧応力条件下において下端から空気を圧入する実験を実施し，試料の中央の高さにおける軸ひずみと周ひずみを計測した。二相流動と変形の連成過程を解く数値シミュレータ（愛知，2010）を用いて，現実的なパラメータ設定の下で実験の数値シミュレーションを試みた結果，実験から得られた値よりも大きいひずみが得られた。実験で用いた泥岩の間隙径分布と実験で設定した間隙流体圧に関する条件からは，実験においては空気が選択的な流路を形成しつつ試料中を流動した可能性が考えられた。一方，数値シミュレーションにおいては，二相流体は均質な試料中をDarcyの法則に基づき流動し，選択的な流路は試料中に形成されなかった。以上の結果は，二相流の流動様式が泥岩の変形に影響を与える可能性があることを示唆していると言える。

参考文献
愛知正温（2010），熱力学的考察に基づく二相流動・変形連成シミュレータの開発と水溶性天然ガス貯留層シミュレーションへの適用，東京大学大学院工学系研究科地球システム工学専攻博士論文．