日本地球惑星科学連合2016年大会

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ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-RE 応用地質学・資源エネルギー利用

[H-RE20] 地球温暖化防止と地学(CO2地中貯留・有効利用,地球工学)

2016年5月24日(火) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*徳永 朋祥(東京大学大学院新領域創成科学研究科環境システム学専攻)、薛 自求(公益財団法人 地球環境産業技術研究機構)、徂徠 正夫(国立研究開発法人産業技術総合研究所地圏資源環境研究部門)

17:15 〜 18:30

[HRE20-P04] リアルタイムイベント検出への忘却型学習アルゴリズム(SDAR)の適用について

*高岸 万紀子1利岡 徹馬1成田 章2古瀬 慶博2薛 自求1 (1.公益財団法人 地球環境産業技術研究機構、2.三菱スペース・ソフトウエア株式会社)

キーワード:CO2地中貯留、忘却型学習アルゴリズム(SDAR)、リアルタイムイベント検出、微小振動観測

CO2圧入サイトにおける微小振動観測は、安全な貯留を示す上で重要なモニタリングの1つである。近年、多くのCO2圧入サイトで微小振動観測が行われている。特に、観測された大量の波形記録から、リアルタイムでイベント(自然地震、微小振動)とノイズを正確に区別して到達時刻を読み取ることにより、信頼性の高い震源決定を行うが可能となる。
一般的なイベントのシグナルの検出方法として、波形振幅にしきい値を設定する方法、STA/LTA法(Coppens, 1985)、ARモデルとAICを組み合わせた手法(横田・他、1981)などが挙げられる。これらの手法はS/N比が良好な波形に対して非常に有効であり、自然地震などの波形処理に用いられている。一方、CO2圧入に伴う微小振動はマグニチュードが小さく、多くはM0程度かそれ以下である。海域のCO2貯留サイトの場合、海底面に設置された観測機器のデータはノイズレベルが高いため、ノイズに対してロバストなイベント検出手法が必要となる。
RITEではノイズを適切に処理できて、マグニチュードが小さいイベントをリアルタイムで検出する手法として、忘却型学習アルゴリズム(SDAR: Sequentially Discounting AR learning)を用いた波形処理手法に取り組んでいる。SDARは、非定常な時系列データを、局所的に定常性を仮定して自己回帰モデル(ARモデル)で表し、過去のデータを徐々に忘れながら新しいデータの性質に適応して統計モデルを更新するアルゴリズムである。つまり、先見情報を必要とせず、リアルタイムで時系列データにおける値の急激な変化を検出できる。もともと情報通信分野で開発された方法であり、不正アクセスの検知や侵入検知などに活用されていた(Takeuchi and Yamanishi, 2006)。
本報告では、このSDARを用いたリアルタイムイベント検出手法について紹介する。
[引用文献]
Coppens, F., (1985): First arrival picking on common-offset trace collections for automatic estimation of static correction: Geophysical Prospecting 33, 1212-1231.
Takeuchi, J., and Yamanishi, K.(2006):A Unifying Framework for Detecting Outliers and Change Points from Non-Stationary Time Series Data, IEEE Trans. on Knowledge and Data Engineering, 18(4), 482-492.
横田崇・周勝奎・溝上恵・中村功(1981):地震はデータの自動検測方式とオンライン処理システムにおける稼働実験、地震研究所彙報、55、449-484.
[謝辞]
本研究は経済産業省委託事業「二酸化炭素回収・貯蔵安全性評価技術開発事業」の一環として行われた。