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[HSC16-02] 2011年東北地方太平洋沖地震による液状化発生域の土地条件と液状化危険度評価に関する再検討
キーワード:2011年東北地方太平洋沖地震、液状化、砂利採取場、空中写真、多摩川
1.はじめに
2011年東北地方太平洋沖地震により、関東地方のいくつかの地域では砂利採取場を埋め戻した領域(砂利採取場跡地)の多くで液状化が発生した事例が確認された。また、砂利採取場跡地では液状化しやすいことがこれまでにも指摘されている。2011年東北地方太平洋沖地震による液状化発生地点の土地条件を再検討した結果、砂利採取場跡地における液状化は関東地方の限られた地域のみならず、関東地方から東北地方太平洋側の多くの地点で確認された。本発表では、そのいくつかの事例を報告するとともに、農村部だけではなく都市域においても砂利採取場跡地が多数分布していることを示す一事例として、多摩川中・下流部における砂利採取場跡地の分布を示す。
2.調査方法
現地踏査や既存の報告などにより示されている2011年東北地方太平洋沖地震による液状化発生域と、砂利採取場跡地との関係について、おもに1945年以降の米軍撮影または国土地理院撮影の多時期の空中写真を判読し、それにより明らかにした砂利採取場跡地の分布域と液状化発生域をGIS(Arc GIS10.3.1)上で重ね合わせることで検討した。また、多摩川中・下流域における砂利採取場跡地の分布についても、上記と同様の多時期の空中写真や旧版地形図などを判読することにより明らかにした。なお、多摩川中・下流域においては、2011年東北地方太平洋沖地震における液状化の発生は報告されていないようである。
3.結果
これまで砂利採取場跡地での液状化発生が多数報告されている茨城県神栖・鹿島地域以外においても、鬼怒川、小貝川、那珂川、久慈川など関東地方東部の河川中流域、白石川、鳴瀬川、江合川など宮城県の河川中流域において、砂利採取場跡地における液状化発生を確認した。それらの多くは後背湿地や旧河道などに位置しているため、既存の報告では後背湿地(氾濫平野)や旧河道などにおける液状化発生とみなされているものが多い。それらの砂利採取場跡地の多くは1970年代後半以降に造成・埋め戻されたものが多く、造成後数年間で埋め戻されたものも見られた。
多摩川中・下流部における砂利採取場跡地の分布を検討した結果、第二次世界大戦期から1960年代まで多数の砂利採取場が河床や高水敷のみならず堤内地にも分布していた。それらの領域には、その後埋め戻されて宅地や工場用地として造成された領域も多く見られる。液状化しやすさは微地形により異なる性質を利用して、液状化危険度評価の際に地形区分データが用いられることが多い。前述のように(埋め戻しで用いた材料により異なるものの)砂利採取場跡地は一般的に液状化しやすい領域であるが、存在期間の短さ(造成から埋め戻しまでの期間が短いこと)や個々の砂利採取場の面積は限定的であること等、その分布を把握することが困難であるためか、各機関で現在公開されている地形区分を示した地図データ(土地条件図など)にはその存在はほとんど反映されていない。その一方、日本列島の多くの河川流域においては、今回例示した多摩川のように、かつて砂利採取が活発におこなわれていたことが知られている。したがって、砂利採取場跡地の存在が見落とされ、液状化危険度が低く見積もられている領域が多く存在している可能性がある。
2011年東北地方太平洋沖地震により、関東地方のいくつかの地域では砂利採取場を埋め戻した領域(砂利採取場跡地)の多くで液状化が発生した事例が確認された。また、砂利採取場跡地では液状化しやすいことがこれまでにも指摘されている。2011年東北地方太平洋沖地震による液状化発生地点の土地条件を再検討した結果、砂利採取場跡地における液状化は関東地方の限られた地域のみならず、関東地方から東北地方太平洋側の多くの地点で確認された。本発表では、そのいくつかの事例を報告するとともに、農村部だけではなく都市域においても砂利採取場跡地が多数分布していることを示す一事例として、多摩川中・下流部における砂利採取場跡地の分布を示す。
2.調査方法
現地踏査や既存の報告などにより示されている2011年東北地方太平洋沖地震による液状化発生域と、砂利採取場跡地との関係について、おもに1945年以降の米軍撮影または国土地理院撮影の多時期の空中写真を判読し、それにより明らかにした砂利採取場跡地の分布域と液状化発生域をGIS(Arc GIS10.3.1)上で重ね合わせることで検討した。また、多摩川中・下流域における砂利採取場跡地の分布についても、上記と同様の多時期の空中写真や旧版地形図などを判読することにより明らかにした。なお、多摩川中・下流域においては、2011年東北地方太平洋沖地震における液状化の発生は報告されていないようである。
3.結果
これまで砂利採取場跡地での液状化発生が多数報告されている茨城県神栖・鹿島地域以外においても、鬼怒川、小貝川、那珂川、久慈川など関東地方東部の河川中流域、白石川、鳴瀬川、江合川など宮城県の河川中流域において、砂利採取場跡地における液状化発生を確認した。それらの多くは後背湿地や旧河道などに位置しているため、既存の報告では後背湿地(氾濫平野)や旧河道などにおける液状化発生とみなされているものが多い。それらの砂利採取場跡地の多くは1970年代後半以降に造成・埋め戻されたものが多く、造成後数年間で埋め戻されたものも見られた。
多摩川中・下流部における砂利採取場跡地の分布を検討した結果、第二次世界大戦期から1960年代まで多数の砂利採取場が河床や高水敷のみならず堤内地にも分布していた。それらの領域には、その後埋め戻されて宅地や工場用地として造成された領域も多く見られる。液状化しやすさは微地形により異なる性質を利用して、液状化危険度評価の際に地形区分データが用いられることが多い。前述のように(埋め戻しで用いた材料により異なるものの)砂利採取場跡地は一般的に液状化しやすい領域であるが、存在期間の短さ(造成から埋め戻しまでの期間が短いこと)や個々の砂利採取場の面積は限定的であること等、その分布を把握することが困難であるためか、各機関で現在公開されている地形区分を示した地図データ(土地条件図など)にはその存在はほとんど反映されていない。その一方、日本列島の多くの河川流域においては、今回例示した多摩川のように、かつて砂利採取が活発におこなわれていたことが知られている。したがって、砂利採取場跡地の存在が見落とされ、液状化危険度が低く見積もられている領域が多く存在している可能性がある。