日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-SC 社会地球科学・社会都市システム

[H-SC16] 人間環境と災害リスク

2016年5月23日(月) 10:45 〜 11:30 105 (1F)

コンビーナ:*青木 賢人(金沢大学地域創造学類)、松多 信尚(岡山大学大学院教育学研究科)、須貝 俊彦(東京大学大学院新領域創成科学研究科自然環境学専攻)、座長:青木 賢人(金沢大学地域創造学類)

11:15 〜 11:30

[HSC16-08] 地震ハザードマップについての理学と工学の融合の視点からの考察

*小荒井 衛1 (1.茨城大学理学部理学科地球環境科学コース)

キーワード:地震ハザードマップ、液状化、活断層

地震ハザードマップについて、地理学(特に地形学)の立場からの理学的な視点と、地盤工学どの工学の立場からの視点があるが、工学部の研究者と連携して仕事を行う機会が多い立場から、感じたことを自由に述べる。
揺れやすさマップ、液状化リスクマップについては、ボーリングデータや深部地下構造から作成している場合と、地形分類から作成している場合がある。工学的ハザードマップと地理学的ハザードマップの融合が必要である。同じ地形分類でも、浅部地下構造の違いや地形の隣接関係で危険性が変わってくる。解決策の糸口としては、北陸地方整備局の液状化マップの事例などが参考になる。また、国土地理院で開発した災害予想システムでは、浅部地質をDEMから多少予想しているので、この手法の活用が考えられる。
活断層分布図に関しては、そこから読み取れるリスクとして、断層によるズレ、断層近傍での強い揺れ、上盤側の地盤の変形などがある。ただし、活断層の位置で必ずしも毎回地表地震断層が出現する訳でも無い。知られていない場所で新しい地表地震断層が出現することも多い。筆者のこれまでの調査結果では、土砂崩壊や建物被害は地表地震断層や活断層の上盤側ではなく、起震断層の地表延長部の上盤側で激しいのではないかという疑問がある。起震断層の地下構造をハザードマップに反映できると望ましい。活断層ではない破砕帯近傍で、強く揺れたり、受動的に変位したりするが、これらもハザードマップに反映できると望ましい。