日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-SC 社会地球科学・社会都市システム

[H-SC16] 人間環境と災害リスク

2016年5月23日(月) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*青木 賢人(金沢大学地域創造学類)、松多 信尚(岡山大学大学院教育学研究科)、須貝 俊彦(東京大学大学院新領域創成科学研究科自然環境学専攻)

17:15 〜 18:30

[HSC16-P03] 2013年に伊豆大島で発生した表層崩壊発生斜面の植生履歴

*大丸 裕武1村上 亘1 (1.国立研究開発法人森林総合研究所)

キーワード:表層崩壊、土石流、森林

2013年に大規模な表層崩壊と土石流災害が発生した伊豆大島元町地区の斜面の植生について、歴史資料の分析と過去の空中写真の解析から歴史的な変化の分析を行った。崩壊発生斜面は樹齢40年、樹高5-6m程度のイヌツゲやヒサカキ等を主とする常緑広葉樹林に覆われていたと考えられる。崩壊発生斜面は強風にさらされる西向き斜面に位置しているため、樹冠はよく揃う特徴が見られた。また、株立ち状の樹木が多く見られることから、過去の薪炭利用の影響を強く受けた二次林と考えられる。
歴史資料によると伊豆大島の山林は製塩燃料の採取のために利用されたが、18世紀以降は江戸向けの薪の生産が盛んになったとされる。しかし,この薪生産も大正末期より衰退し,その後は炭焼き業が盛んになったが、濫伐によってその生産量は低下した。1960年代以降の石油革命によって炭の生産は縮小して森林への人工圧は大きく低下した。空中写真を解析して、1975年と2013年の植生高を比較すると、多くの場所で植生高は2倍程度に増大していることがわかる。しかし、崩壊発生斜面の樹木根系は大部分の場所で表層の火山砂の層に留まっていることから、森林の成長がすべり面付近のせん断強度の増大に与えた影響は限定的だったと推定される。一方で、地上部の重量の増大や強風による表層土壌の振動は表層土層の安定性を低下させる影響を与えうることから、森林蓄積の増大が与えた影響を多様な視点から検証する必要がある。