日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-TT 計測技術・研究手法

[H-TT21] 環境トレーサビリティー手法の開発と適用

2016年5月24日(火) 10:45 〜 12:15 101A (1F)

コンビーナ:*陀安 一郎(総合地球環境学研究所)、中野 孝教(大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 総合地球環境学研究所)、座長:中野 孝教(大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 総合地球環境学研究所)

10:45 〜 11:00

[HTT21-01] 多元素同位体を利用した地球環境学研究の展開

*陀安 一郎1SHIN Ki-Cheol1中野 孝教1 (1.総合地球環境学研究所)

キーワード:安定同位体、環境トレーサビリティー、集水域

環境トレーサビリティー手法は物質循環過程に基づいているため、環境科学にかかわるさまざまな事象の研究に利用することができると考えられる。特に、人為影響下における環境改変が生態系に及ぼす影響を評価する上では、幅広い応用範囲が考えられる。その中でも陸域生態系においては、地圏の持つ元素組成と同位体組成に関する異質性が、水循環過程、物質循環過程や生物の移動過程を通してトレースすることができ、生態系における環境トレーサビリティー手法として活用することができる。
総合地球環境学研究所(地球研)においては、同位体環境学共同研究事業を核として全国の研究者と共同研究を行っている。環境トレーサビリティーに着目した多元素分析および多元素同位体分析を行うことで、各地域の特性が明らかになり、それを基にした地球環境学の研究を進めることができると考えられる。そのためには、観測手法のマニュアル化や、分析手法の標準化のみならず、クレジットを明らかにした上での得られたデータの共有化など、いろいろな課題に取り組む必要がある。
さらに、地球環境問題の複雑化から、環境研究においては現場の住民や行政機関、または学校教育と連携した取り組みが必要であるという考え方が生まれてきている。本発表においては、環境トレーサビリティーの考え方をもとに、同位体手法をもとにした大学間連携の研究のあり方と、その中で地球研の果たす役割について検討したい。