日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-TT 計測技術・研究手法

[H-TT23] 環境リモートセンシング

2016年5月23日(月) 15:30 〜 17:00 202 (2F)

コンビーナ:*石内 鉄平(明石工業高等専門学校)、島崎 彦人(独立行政法人国立高等専門学校機構 木更津工業高等専門学校)、近藤 昭彦(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)、作野 裕司(広島大学大学院工学研究院)、長谷川 均(国士舘大学文学部地理学教室)、桑原 祐史(茨城大学 広域水圏環境科学教育研究センター)、座長:島崎 彦人(独立行政法人国立高等専門学校機構 木更津工業高等専門学校)

16:15 〜 16:30

[HTT23-10] リモートセンシングによるコーヒーさび病のモニタリング手法の開発

*勝濱 直椰1池田 和幸1吉井 孝拓1Marpaung Fiolenta1今井 正尭1,3渡辺 健介1,3成瀬 延康1,2高橋 幸弘1,3 (1.北海道大学グローバルサイエンスキャンパス、2.北海道大学高等教育推進機構、3.北海道大学大学院理学研究院)

キーワード:グアテマラ共和国、コーヒーさび病、NDVI、リモートセンシング

コーヒー豆は世界市場で石油に次ぐ貿易高があり、多くの国で主要な作物となっている。しかし、2008年以降コーヒーさび病菌(Hemileia vastatrix)が中南米で感染を拡大しており、コーヒー産業にとって大きな脅威となっている。コーヒーさび病は空気感染をするため感染が速い。また、効果的な農薬や耐病性と風味を兼ね備えた品種がない。したがって、感染した木を早期に発見し、伐採・焼却することが感染拡大予防の効果的な対策となる。コーヒーさび病に関する研究は古くから多くの注目を集めてきたが、その多くは耐病性を持つ品種の開発やコーヒーさび病の生態の研究にとどまっている。人工衛星によるリモートセンシングは安価で広範囲を短時間でモニタリングできる。リモートセンシングを用いたコーヒーさび病の発見方法の研究は70年代より行われているが精度が十分ではなかったことから、現代の衛星の空間分解能での研究結果が期待できる。
本研究の目的は、衛星画像を用いたリモートセンシングにより、コーヒーさび病に感染した範囲を発見する方法を開発することである。グアテマラ共和国、クチュマタネス山脈周辺のLandsat7の衛星画像を入手し、衛星画像のNDVI(Normalized Difference Vegetation Index)を算出した。先行研究に基づいて、被害段階の異なる複数の圃場をテストサイトとして選び、それぞれのNDVIの推移を求めた。解析した結果、被害段階に関係なくすべての圃場において雨季、乾季のあいだにNDVIの季節変化が見られた。また、被害のある圃場と被害のない圃場を比較したところ、時間が経過するにしたがって、被害のある圃場のNDVIは低くなる傾向があった。一方、被害のない圃場では季節変化は見られたが、NDVIが一定の値を示す傾向にあった。このことから、コーヒーさび病の進行とともに、NDVIが低下することが示唆された。本研究のモニタリング手法を用いることで、他の作物、植生のモニタリングへの応用も期待できる。