日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-TT 計測技術・研究手法

[H-TT23] 環境リモートセンシング

2016年5月23日(月) 15:30 〜 17:00 202 (2F)

コンビーナ:*石内 鉄平(明石工業高等専門学校)、島崎 彦人(独立行政法人国立高等専門学校機構 木更津工業高等専門学校)、近藤 昭彦(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)、作野 裕司(広島大学大学院工学研究院)、長谷川 均(国士舘大学文学部地理学教室)、桑原 祐史(茨城大学 広域水圏環境科学教育研究センター)、座長:島崎 彦人(独立行政法人国立高等専門学校機構 木更津工業高等専門学校)

16:30 〜 16:45

[HTT23-11] リモートセンシングによるバングラデシュの稲作面積の推定

*鈴木 元太1古田 英輝1山崎 正人1寺岡 知美1大上 迪士1藤原 啓数1成瀬 延康1,2高橋 幸弘1,3 (1.北海道大学グローバルサイエンスキャンパス、2.北海道大学高等教育推進機構、3.北海道大学大学院理学研究院)

キーワード:リモートセンシング、稲作、NDVI、バングラデシュ

緑の革命以降、世界中で米の生産量は増加し食糧危機を救ってきた。バングラデシュでは近年も増加し続けており、国際連合食糧産業機関(FAO)の統計によると2013年時点で日本の約5倍の米の生産を誇っている。しかし生産量の増加に伴い米価が安定していないことが問題になっている。バングラデシュは米を中心とする農業が主要な産業であり、供給や価格の変動が政治問題に直結してしまうことから米価の維持が重要である。米価の維持には生産量の把握が必要であり、FAOも生産量の調査を行っているが、情報源がアンケートや各国の書籍、非公式データによるものが多く信頼性が高いデータとは言い難い。
そこで、稲作面積の計測法として効率的、継続的に計測できるリモートセンシングが注目されている。特にマイクロ波の衛星画像を利用したリモートセンシングは、時間帯や天気に関わらず観測ができるという利点がある。しかし画像データが有料であるため、途上国において継続的な観測をすることが難しく、観測ができる研究機関が限られてしまっている。
本研究では無料で手に入れることのできる可視光赤・近赤外域の衛星画像から、稲作面積を求める方法を確立することを目的とする。
まず、バングラデシュの稲の収穫期には、NDVI(Normalized difference vegetation Index)値に変化が現れると考え、確実に稲作領域と考えられる研究機関(BRRI :Bangladesh Rice Research Institute)の領域のNDVIの季節変化を求めた。その結果、雨期には雲に覆われていることが多く標本数が少なかったが、乾期にあたる11月から12月にかけて、他の時期に比べ顕著に(0.2-0.25)NDVI値が低下することが明らかとなった。本来、バングラデシュでは二期作であり、地域によって栽培される稲の品種や時期が若干異なるが、多くの地域において11月から12月にかけて収穫期を迎えることから、これがNDVI値の変化として観測されていると考えられる。このテスト地域の結果を基に、バングラデシュ全土の稲作地域を導出した。なお、稲作地域以外の耕作地を除外するため、バングラデシュに多い馬鈴薯とサトウキビの耕作地を除外するとともに、森林領域も除外した。