[H-TT23] 環境リモートセンシング

[HTT23-P11] 衛星リモートセンシングによるトナカイの移動経路の解明

*テレングト 雛子¹、高梨 晴己¹、眼目 健翔¹、田代 達也¹、木田 樹¹、渡辺 恭弥¹、Marpaung Fiolenta¹、吉井 孝拓¹、荻野 由香¹、今井 正尭^1,3、成瀬 延康^1,2、高橋 幸弘^1,3 (1.北海道大学グローバルサイエンスキャンパス、2.北海道大学高等教育推進機構、3.北海道大学大学院理学研究院)

キーワード：リモートセンシング、トナカイ、シベリア、ペンギン

シベリアの北極圏では、現在でも野生のトナカイの狩猟により生計を立てている遊牧民がいる。近年、牧草を求めて同一経路を周遊する性質がある、野生のトナカイの周遊経路が変化してしまい、その狩猟によって生きる北極圏の遊牧民の生計が脅かされている。この原因は、近年の気候変動によるトナカイの主食となる牧草の植生の変化のためと考えられているが詳細にはわかっていない。これまで、数頭のトナカイにGPS発信器を取り付け、群れの移動経路を追跡する研究がロシアのサハ共和国で行われてきた[1]。しかし、標本数が少ないため、広大なシベリア全土に渡る観測網とはなっていない。
そこで、本研究では、リモートセンシングにより野生のトナカイの移動経路を解明し、移動経路が変化した原因について考察することを目的とする。具体的には、1）該当領域の近年の気候変動による植生変化の兆候を衛星画像から調査し、2）衛星画像解析により直接トナカイの群れを把握する方法の確立を試みた。本発表は2）について主に報告する。
最近、衛星画像解析により、南極のペンギンの生息頭数を数えたという研究成果が報告[2],[3]されており、本研究での解析の参考にした。この理由は、雪に覆われた土地にペンギンが群れとなって生息するという点でトナカイとの類似点があるからである。本研究で用いたLandsat衛星画像により、先行研究で報告されている南極のペンギンのコロニーの位置を割り出し、観測できるかどうかを探ったところ、Landsat衛星を用いても観測できることがわかった。
次に、ロシア、サハ共和国、レナ川とオレニョク川流域において、2011年1月から2015年2月の冬季間(1月と2月)のLandsat衛星の衛星画像データの差分解析を行ったところ、トナカイの群れと思われる箇所があった。
参考文献
[1]立澤史郎(2013)”衛星追跡による野生トナカイの観測”平成24年度 FR4 研究プロジェクト報告 142-144頁
[2]Peter T. Fretwellら(2012)” An Emperor Penguin Population Estimate: The First Global, Synoptic Survey of a Species from Space” PLOS ONE Volume7 1-11頁
[3]Mathew R. Schwallerら(2013)” Continental-scale mapping of Adélie penguin colonies from Landsat imagery” Remote Sensing of Environment Volume 139 353-364頁