日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-TT 計測技術・研究手法

[H-TT24] 地理情報システムと地図・空間表現

2016年5月22日(日) 09:00 〜 10:30 304 (3F)

コンビーナ:*小荒井 衛(茨城大学理学部理学科地球環境科学コース)、吉川 眞(大阪工業大学工学部)、鈴木 厚志(立正大学地球環境科学部)、座長:小荒井 衛(茨城大学理学部理学科地球環境科学コース)、王尾 和寿(筑波大学)

10:15 〜 10:30

[HTT24-05] RとGISによる高解像度PM2.5推定分布と交通網の空間相関解析

*山川 純次1 (1.岡山大学大学院自然科学研究科)

キーワード:PM2.5、交通ネットワーク、空間統計学、クリギング、R言語、FOSS4G

大気中に浮遊する空気力学半径が2.5マイクロメートル以下の粒子集団をPM2.5と呼ぶ。PM2.5の空間濃度分布の解析は健康に対する影響等を検討する上で重要であるが, PM2.5の濃度観測点数が少ないため十分な解像度が得られない。このため, PM2.5の観測濃度に関する時系列解析およびクリギング法を用いて高解像度推定が行われる。本研究では,この高解像度で推定されたPM2.5の空間濃度分布と交通網の相関解析をRとGISを用いて行った。
対象地域は岡山県南部で岡山市から倉敷市に渡る東西約40km, 南北約30kmに設定した。この地域におけるPM2.5の観測濃度データは岡山県の環境データ公開ウェブサイトから取得した。対象地域における地理空間データは我が国の政府系研究機関によって公開されたものを使用した。クリギング法はR (R core team, 2015)とその空間統計ライブラリであるmaptools (Bivand and Lewin-Koh, 2014), rgdal (Bivand, Keitt and Rowlingson, 2014)およびgstat (Pebesma, 2014)によって実行した。交通網に関する空間演算および解析結果の地理学的表現はQGIS (QGIS Development Team, 2015)とGoogle earth (Google, 2014)によって行なった。なおrgdalとQGISはOpen Source Geospatial Foundationの下で開発されているFOSS4Gソフトウェアの一部である。
まず対象地域全体で主要幹線道路からのバッファ距離とPM2.5の空間濃度分布の相関を検討したところ明瞭な相関は見出せなかった。次に解析対象地域を岡山市と倉敷市を中心とした,大まかな地形に基づく2つの地域に分割して検討したところ,ある程度の相関を見出すことができた。高解像度PM2.5推定分布と交通網の空間相関を検討する場合,交通網の密度に加えて適切な地形区分を考慮する必要があると考えられる。