日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-TT 計測技術・研究手法

[H-TT24] 地理情報システムと地図・空間表現

2016年5月22日(日) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*小荒井 衛(茨城大学理学部理学科地球環境科学コース)、吉川 眞(大阪工業大学工学部)、鈴木 厚志(立正大学地球環境科学部)

17:15 〜 18:30

[HTT24-P05] イラスト地図鑑賞時の注目点シミュレーション手法

*有川 正俊1 (1.東京大学空間情報科学研究センター)

キーワード:注目点、図読、シミュレーション

本発表では,自然言語によって記述され,注目点誘導に関してよく知られた規則を数理モデルとして定式化することによって,イラスト地図鑑賞時の視覚的注目点の推移をシミュレーションするツールを開発するための新たな手法を示す.本モデルは,イラスト地図上の視覚的注目度の分布を表す多層で動的なポテンシャル場から注目点軌道を抽出し,視覚的注目点の推移とするアルゴリズムによって実現される.本アルゴリズムではまず,イラスト地図上のグラフィック要素に対応するガウシアン・カーネルを重ね合わせることによって,ポテンシャル場を生成する.一般的に地図読者は,グラフィック要素の記号的な性質や要素間の関係性によってグラフィック要素を読み取る順序を決定する.したがって,本アルゴリズムでは,地図作成の規則に則って,グラフィック要素にラベル・山・川などのレイヤー属性を付与し,また要素間の階層的なネットワーク構造を構築することによって,生成したポテンシャル場に動的な変化を与えることとする.次に,生成したポテンシャル場上の勾配に従って動点を動かすことによって,領域をもつ軌道を抽出し,イラスト地図上の視覚的注目点の軌道とする.最後に,アイトラッカーを用いて地図読者から視覚的注目点の推移を抽出し,本ツールによる注目点推移と比較することによって,本ツールの実現可能性を示す.