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[MAG24-05] 森林樹冠から林床への放射性セシウムの移行がリター層及び土層中の放射性セシウム存在量に及ぼす影響
キーワード:放射性セシウム、森林、移行、リター層
原子力発電所等の事故により森林に降下した放射性セシウムは、樹冠による遮断を受けた後に雨水や落葉等にともなって徐々に林床に移行する。そのため、森林樹冠に残存する放射性セシウムは林床の二次汚染の供給源となるが、リター層や土層の放射性セシウム存在量の時間変化に及ぼす影響は定量的に明らかになっていない。
本研究では、福島県伊達郡川俣町山木屋地区において、福島第一原子力発電所事故直後から4年間にわたって森林樹冠に捕捉された放射性セシウムの林床への移行状況を調査した。スギ人工林の2林分(31年生壮齢林及び18年生若齢林)とコナラ・アカマツからなる広葉樹混交林を対象として、樹冠通過雨、樹幹流、落葉等にともなう樹冠から林床への放射性セシウム移行フラックスを測定した。また、可搬型ゲルマニウムガンマ線検出器を用いて、林床の放射性セシウムの計数率の空間分布と時間変化を測定した。
調査対象森林において、調査期間中に林床に沈着した放射性セシウムは、スギ壮齢林、スギ若齢林、広葉樹混交林でそれぞれ166 kBq/m2, 174 kBq/m2, and 60 kBq/m2で、これらの値は大気からの総沈着量の38%、40%、13%にあたる。林床の放射性セシウムの空間分布が調査期間を通して大きく変化していないことから、現在も観測される樹冠から林床への放射性セシウム移行量の空間分布が初期沈着時の空間分布特性と大きく異ならないことを示唆している。同調査地点における林床の放射性セシウム存在量の調査結果(高橋ら、2015; 原子力規制庁、2015)からリター層及び土層中の放射性セシウム存在量の時間変化を算出し、樹冠から林床への放射性セシウム移行フラックスとの関連を調査した。いずれの調査森林においても、リター層中の放射性セシウム存在量は、調査期間中の樹冠から林床への放射性セシウム移行速度が比較的に大きな値(~400Bq/m2/day)を示したにもかかわらず時間とともに減少する傾向を示した。このことから、樹冠から林床への放射性セシウム移行量の時間変化を二重指数関数モデルで表すとともに、土層中の放射性セシウム存在量の時間変化傾向の解析に基づいて、リター層から下部の土層への放射性セシウム移行速度を算出した。
本研究では、福島県伊達郡川俣町山木屋地区において、福島第一原子力発電所事故直後から4年間にわたって森林樹冠に捕捉された放射性セシウムの林床への移行状況を調査した。スギ人工林の2林分(31年生壮齢林及び18年生若齢林)とコナラ・アカマツからなる広葉樹混交林を対象として、樹冠通過雨、樹幹流、落葉等にともなう樹冠から林床への放射性セシウム移行フラックスを測定した。また、可搬型ゲルマニウムガンマ線検出器を用いて、林床の放射性セシウムの計数率の空間分布と時間変化を測定した。
調査対象森林において、調査期間中に林床に沈着した放射性セシウムは、スギ壮齢林、スギ若齢林、広葉樹混交林でそれぞれ166 kBq/m2, 174 kBq/m2, and 60 kBq/m2で、これらの値は大気からの総沈着量の38%、40%、13%にあたる。林床の放射性セシウムの空間分布が調査期間を通して大きく変化していないことから、現在も観測される樹冠から林床への放射性セシウム移行量の空間分布が初期沈着時の空間分布特性と大きく異ならないことを示唆している。同調査地点における林床の放射性セシウム存在量の調査結果(高橋ら、2015; 原子力規制庁、2015)からリター層及び土層中の放射性セシウム存在量の時間変化を算出し、樹冠から林床への放射性セシウム移行フラックスとの関連を調査した。いずれの調査森林においても、リター層中の放射性セシウム存在量は、調査期間中の樹冠から林床への放射性セシウム移行速度が比較的に大きな値(~400Bq/m2/day)を示したにもかかわらず時間とともに減少する傾向を示した。このことから、樹冠から林床への放射性セシウム移行量の時間変化を二重指数関数モデルで表すとともに、土層中の放射性セシウム存在量の時間変化傾向の解析に基づいて、リター層から下部の土層への放射性セシウム移行速度を算出した。