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[MGI20-P11] 北アルプス・白馬大雪渓における落石分布と地形変化
キーワード:落石、白馬大雪渓、地形変化
北アルプス北東部に位置する白馬大雪渓は日本三大雪渓の一つで,夏季には毎年1万人以上の登山者が通過する日本屈指の登山ルートである.白馬大雪渓上では岩壁の落石や崩落で生産される岩屑により毎年のように登山事故が起こっている.2005年8月に杓子岳北面の岩壁で崩落が生じ, 2名の死傷者がでた.2008年8月には大雪渓の左岸斜面で崩落が発生し,登山者2名が犠牲になっている(苅谷ほか,2008).白馬大雪渓での落石事故は,1992~2013年で起きた滑落事故を除く登山事故件数が日本の山地で最多であるが,落石の地形場や分布などはまだ明らかでない.そこで本研究では,落石・崩落の実態や大雪渓周辺の地形変化を明らかにすることを目的として,2014~2015年に現地調査を実施した.雪渓脇に設置したインターバルカメラ撮像の結果から,2014年の落石生産の多くは雪渓内部に埋没していた礫の雪面低下による融出が多くを占めていた.一方,2015年は岩壁周辺から6月以降にもたらされたものが多く,2015年9月末には570個の礫の分布を確認した.2015年の大雪渓上の礫の分布には偏りがみられ,その多くは上流部左岸,中流部右岸,下流部右岸に集中していた.また,大雪渓上で6種類の礫を確認し,その礫の分布は本調査地域の局地的な地質の違いを反映していた.