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[MGI21-01] 太陽光発電予測に基づく調和型電力系統制御の実現に向けて
★招待講演
キーワード:太陽光発電予測、電力系統、需給制御
本稿では,2015 年4 月より5 年間の期間で始まった,JST CREST EMS 領域の研究課題の一つである「太陽光発電予測に基づく調和型電力系統制御のためのシステム理論構築(HARPS)」の研究プロジェクト(研究代表者 井村順一)について,その概要を紹介する.経済産業省は2010年のエネルギー基本計画において2030年に53GWの太陽光(PV)発電の導入を目標として掲げ,PV発電の大量導入のための取り組みが本格化した.さらに,2015年7月には「長期エネルギー需給見通し」において2030年に64GW(日本の全電力量の7%, 瞬間では全電力の約30%)のPV発電導入を目標に掲げました。2015年末で23GWのPV発電になっており,ここ数年で目覚ましい勢いでPV発電が増加してきている.そのため,PV発電の予測を用いて安定な電力供給を実現する新しい制御技術の開発が急務になってきている.その一方で,発送電分離や電力自由化による新しい電力供給体制,および,情報インフラや家庭用蓄電池技術等の高度化によるデマンドレスポンスなどの開発により,需給バランスを達成するシステム全体の枠組みそのものを根本的に見直し,再構築する必要性が生じている.そこで,本プロジェクトでは,太陽光発電の大量導入と調和した電力供給の両方を実現するために,太陽光発電予測/需要予測に加えて,需要側エネルギーマネジメントシステム(FEMS,CEMSなど),協調パワーコンディショナー,デマンドレスポンスアグリゲータ,電力バランシンググループといった様々な様態が想定される中間層(調和型アグリゲータ)の機能や特性を活用した,次々世代の電力系統制御のためのシステム理論を構築することを研究目標としている。具体的には,102GWの太陽光発電の導入を可能とし,かつ,330GWの導入までを見据えた次々世代の調和型電力システム安定供給制御技術手法の核となる基盤理論・技術として,(i)電力システム設計:系統運用層-中間層-ユーザー層で構成するシステム設計論,(ii)予測技術:安定供給を実現する制御のためのPV発電予測技術,(iii)制御技術:PV発電予測を最大限活用した安定供給制御理論・技術,の3つの基盤理論・技術を構築することを目指し,太陽光発電予測,需給制御,需要家制御,送配電制御,基盤理論の5つの研究領域から展開している。電力工学,システム制御工学,気象工学,数理工学,情報工学からなる異分野融合組織であり,現在の研究者数は73名で,学生を含めると112名となる.研究参加メンバー,活動実績,セミナーなどより詳細な情報は,本プロジェクトのホームページhttp://www.cyb.mei.titech.ac.jp/crest/ を参照されたい.