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[MGI21-03] ひまわり8号観測データのリアルタイム公開
キーワード:ビッグデータ、リアルタイム処理、衛星、ひまわり
気象庁の次世代気象衛星「ひまわり8号」は2015年7月7日より、公式運用を開始した。国立研究開発法人情報通信研究機構サイエンスクラウドプロジェクトでは、気象庁からの要請に応じ、ひまわり8号の観測データの保存及び公開を行っており、同日ひまわりリアルタイムWebを公開した。
ひまわり8号は、10分毎に全球の、また2.5分毎に日本域及び機動観測域の観測を行う。ひまわり8号に搭載されたセンサ(Advanced Himawari Imager)は、可視光から赤外線まで16の観測バンドをもち、衛星軌道直下では500m(バンド3、Rの場合)の空間解像度を誇る。ひまわり8号に搭載されたセンサの時間分解能及び空間分解能の大幅な向上により、物理量に変換された後のデータ量は、7号の際の約50倍、一日当たり約400GBのデータ量、ファイル数にして一日当たり20,000ファイルになる。またそれらのデータが10分毎に衛星から送られる。物理量に変換されたデータが気象庁のストレージに置かれるまでに観測後約10分掛かる。そのデータをサイエンスクラウドでは、国立情報学研究所が運用するSINET及び情報通信研究機構が運用するJGNという高速ネットワークを通じて、ほぼ瞬時に取得している。
ひまわり8号リアルタイムWebでは、リアルタイムで受信した観測データを、見栄えをよくするために色調変更を行った上で、htmlで配信している。同WebサイトはPC向けだけでなく、スマートフォンやタブレットでも閲覧可能としている。またタッチ操作にも対応することで、より広い利用者に対するニーズに応えるとともに、学校教育現場での利活用も想定している。加えて、閲覧している時刻、データ、場所、拡大率をURLのフォーマットで取得可能とし、特徴的な観測データをソーシャルネットワークなどで共有できる機能も開発した。
2015年7月7日の公開初期は、可視光(バンド1、2及び3の合成)のみであったが、夜間の様子を見たいという要望が多かったため、現在では赤外(バンド13)を追加し、24時間の観測結果を閲覧することが出来るようにしている。赤外では地球表面の画像は得られないため、背景画像は米国航空宇宙局が提供するBlue Marbleを利用している。
ひまわり8号の観測範囲は東アジア、東南アジア、南アジア、オセアニアも含んでいるため、観測データの国際的な利活用も想定される。そのため、ひまわり8号リアルタイムWebは、海外研究者の協力も得て、英語、中国語、韓国語、ロシア語など、現時点で8か国語での表示にも対応している。
同Webサイト公開後は、メディアでの取り上げもあり、一日当たり30,000近いアクセスもあったが、公開一か月後以降は約2,000アクセス/日で落ち着いている。ただし、台風が近づく又は上陸する(2015年台風12号、15号、18号)とアクセス数は倍の5,000/日に達した。加えて、2015年9月14日の阿蘇山の噴火では、観測データからはっきりと噴煙を確認することは出来なかったものの、アクセス数は増加した。これらのことから、気象に関わる何らかのイベントが発生した際には、利用者がWebサイトで実際のデータを確認するという習慣の醸成につながっていると考えられる。また日本国内の利用者を県別で集計した結果を比較すると、ほぼ各県の人口に比例するものの、沖縄県からの利用者は人口比では突出して多く、また台風の時期に利用者が増えることから、防災の観点での利用も行われていることが分かる。国別でみると、中華人民共和国及び中華民国からの利用が多い。これらの利用者の増加は、中国語での表示機能を追加した時期と重なっていることから、専門家の利用だけでなく、一般利用者からの利用が行われていることが推測される。
また、2016年2月4日には、同Webサイトから画像を自動収集するプログラムコードがオープンソースプログラム共有サイト「GitHub」に登録され、その結果、アメリカ合衆国及びロシア連邦からのアクセスが急増した。ひまわり8号観測データの利用者は、専門家や研究者にとどまらず、国境を越えて、世界中から注目を浴びている。
ひまわり8号リアルタイムWebは、これまで研究者及び専門家のみの利用に限られていた科学データを、一般利用者にとって身近にさせたという重要な成果があったと考える。その背景には、ひまわり8号により高度化された観測データが、一般の人が生活する時間空間の範囲と重なったことが挙げられる。観測技術の高度化及び情報通信技術の発展の結果として、今後、科学データが教育などより広い分野で利用される事例となると考える。
ひまわり8号は、10分毎に全球の、また2.5分毎に日本域及び機動観測域の観測を行う。ひまわり8号に搭載されたセンサ(Advanced Himawari Imager)は、可視光から赤外線まで16の観測バンドをもち、衛星軌道直下では500m(バンド3、Rの場合)の空間解像度を誇る。ひまわり8号に搭載されたセンサの時間分解能及び空間分解能の大幅な向上により、物理量に変換された後のデータ量は、7号の際の約50倍、一日当たり約400GBのデータ量、ファイル数にして一日当たり20,000ファイルになる。またそれらのデータが10分毎に衛星から送られる。物理量に変換されたデータが気象庁のストレージに置かれるまでに観測後約10分掛かる。そのデータをサイエンスクラウドでは、国立情報学研究所が運用するSINET及び情報通信研究機構が運用するJGNという高速ネットワークを通じて、ほぼ瞬時に取得している。
ひまわり8号リアルタイムWebでは、リアルタイムで受信した観測データを、見栄えをよくするために色調変更を行った上で、htmlで配信している。同WebサイトはPC向けだけでなく、スマートフォンやタブレットでも閲覧可能としている。またタッチ操作にも対応することで、より広い利用者に対するニーズに応えるとともに、学校教育現場での利活用も想定している。加えて、閲覧している時刻、データ、場所、拡大率をURLのフォーマットで取得可能とし、特徴的な観測データをソーシャルネットワークなどで共有できる機能も開発した。
2015年7月7日の公開初期は、可視光(バンド1、2及び3の合成)のみであったが、夜間の様子を見たいという要望が多かったため、現在では赤外(バンド13)を追加し、24時間の観測結果を閲覧することが出来るようにしている。赤外では地球表面の画像は得られないため、背景画像は米国航空宇宙局が提供するBlue Marbleを利用している。
ひまわり8号の観測範囲は東アジア、東南アジア、南アジア、オセアニアも含んでいるため、観測データの国際的な利活用も想定される。そのため、ひまわり8号リアルタイムWebは、海外研究者の協力も得て、英語、中国語、韓国語、ロシア語など、現時点で8か国語での表示にも対応している。
同Webサイト公開後は、メディアでの取り上げもあり、一日当たり30,000近いアクセスもあったが、公開一か月後以降は約2,000アクセス/日で落ち着いている。ただし、台風が近づく又は上陸する(2015年台風12号、15号、18号)とアクセス数は倍の5,000/日に達した。加えて、2015年9月14日の阿蘇山の噴火では、観測データからはっきりと噴煙を確認することは出来なかったものの、アクセス数は増加した。これらのことから、気象に関わる何らかのイベントが発生した際には、利用者がWebサイトで実際のデータを確認するという習慣の醸成につながっていると考えられる。また日本国内の利用者を県別で集計した結果を比較すると、ほぼ各県の人口に比例するものの、沖縄県からの利用者は人口比では突出して多く、また台風の時期に利用者が増えることから、防災の観点での利用も行われていることが分かる。国別でみると、中華人民共和国及び中華民国からの利用が多い。これらの利用者の増加は、中国語での表示機能を追加した時期と重なっていることから、専門家の利用だけでなく、一般利用者からの利用が行われていることが推測される。
また、2016年2月4日には、同Webサイトから画像を自動収集するプログラムコードがオープンソースプログラム共有サイト「GitHub」に登録され、その結果、アメリカ合衆国及びロシア連邦からのアクセスが急増した。ひまわり8号観測データの利用者は、専門家や研究者にとどまらず、国境を越えて、世界中から注目を浴びている。
ひまわり8号リアルタイムWebは、これまで研究者及び専門家のみの利用に限られていた科学データを、一般利用者にとって身近にさせたという重要な成果があったと考える。その背景には、ひまわり8号により高度化された観測データが、一般の人が生活する時間空間の範囲と重なったことが挙げられる。観測技術の高度化及び情報通信技術の発展の結果として、今後、科学データが教育などより広い分野で利用される事例となると考える。