日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-GI 地球科学一般・情報地球科学

[M-GI21] 情報地球惑星科学と大量データ処理

2016年5月24日(火) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*村田 健史(情報通信研究機構)、野々垣 進(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質情報研究部門 情報地質研究グループ)、堀 智昭(名古屋大学宇宙地球環境研究所)、豊田 英司(気象庁予報部業務課)、寺薗 淳也(会津大学)、若林 真由美(基礎地盤コンサルタンツ株式会社)、堀之内 武(北海道大学地球環境科学研究院)、大竹 和生(気象庁気象大学校)

17:15 〜 18:30

[MGI21-P02] ベトナム・ハノイ市における地形・地質データの活用

*米澤 剛1野々垣 進2櫻井 健一3ツォン スアン ルアン4升本 眞二5三田村 宗樹5 (1.大阪市立大学大学院創造都市研究科、2.国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質情報研究部門 情報地質研究グループ、3.大阪情報コンピュータ専門学校、4.ハノイ鉱山地質大学、5.大阪市立大学大学院理学研究科)

キーワード:DEM、ボーリングデータ、3次元地質モデル

これまで著者が代表をつとめるプロジェクトや国内の関連プロジェクトにおいて,ハノイ市を中心とする地形や地質に関連した基盤データをベトナムのハノイ鉱山地質大学と共同で収集してきた.本研究ではハノイ市の地形や地下構造を明らかにするため,とくに収集された標高データやボーリングデータを有効に活用する手法を提案する.
ベトナムのハノイ市は紅河デルタ,第四紀堆積物の上に位置した都市である.このハノイ市を中心として収集した地形や地質に関連したデータは標高測量データ約16,000点,ボーリングデータ約160点,都市計画地図(2,000分の1)約50枚である.ボーリングデータは井戸掘削用のデータであり,今回使用した情報はそのうち①ボーリング地点情報(EPSG:28418, Pulkovo 1942 / Gauss-Kruger zone 18),②層厚の情報(m),③岩石・土の情報である.しかしながら,岩石・土の表記が統一的な記載表示ではないため,本研究ではJACIC((財)日本建設情報総合センター)の土質コードにもとづいた岩相区分をおこなった.この結果,収集した160点のボーリングデータは,30の岩石・土に区分することができた.岩相区分をおこなったデータから春山(2004)が提示した紅河デルタの地質構造モデルと比較し,岩相対比をおこなった.この結果,対象地域を上位から完新世上部層(Thai Binh Formation),完新世中下部層(Hai Hung Formation),更新世上部層(Vinh Phuc Formation),更新世上中部層(Hanoi Formation),更新世下部層(Lechi Formation)の5つの地層に区分した.
対比結果にもとづいて層序に対応したボーリング地点データを整理し,論理的な整合性(地質構造の論理モデル)を確認した.地形の起伏については,標高測量データからハノイ市の中心部(8km×8km)の地形面のDEMを野々垣ほか(2008)にもとづいて作成した.また,地形面のDEMと同じ範囲の4つの地質境界面のDEMも作成した.地質構造の論理モデルと地形面・地質境界面のDEMを用いて,今回はGRASS GISを利用して3次元地質モデルを構築し,可視化した.
本研究では収集した地形データやボーリングデータを分析し,日本の岩相区分モデルをあてはめることでハノイ市の3次元地質モデルを構築した.3次元地質モデルはハノイ市の地形・地質構造を確認する有効な手法の一つであると考える.今後は収集・分析したボーリングデータや地形データをWeb GIS上で処理する3次元地質モデリングシステムを実現し,関連研究者,とくにベトナム現地の研究者が容易に入力・利用できるようなシステムも構築したいと考える.
なお,本研究は科研費(24251004)の助成を受けたものである.