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[MGI21-P06] インヤン格子とその変種を使った球シミュレーション専用のin-situ可視化手法
キーワード:データ可視化、in-situ可視化、球、イン=ヤン格子、イン=ヤン=ゾン格子
スーパーコンピュータを使った大規模なシミュレーションデータの可視化では現在のところポストプロセス可視化が主流である。ポストプロセス可視化とは、数値データを一度ディスクシステムなどに保存し、後からそのデータを(多くの場合、シミュレーションを実行したスーパーコンピュータとは別の計算機で)可視化処理をする方法である。しかし、ポストプロセス可視化手法は近年、深刻な問題に直面している。スーパーコンピュータのハードウェアと計算機シミュレーション技術の進化に伴い、計算結果として出力される数値データのサイズが指数関数的に増大し、スーパーコンピュータから可視化用計算機までデータを転送するための時間と、そのデータを保存するためのストレージ容量が肥大化しているためである。そのため、現在は数値データを時間的、空間的に間引くことが一般的である。ポストプロセス可視化のもつこのような問題を解決する方法の一つとして、数値シミュレーションと可視化を同時に行う、in-situ(その場)可視化と呼ばれる手法が注目を集めている。このin-situ可視化手法では、計算結果として(数値データではなく)可視化された画像や動画データが直接出力される。画像データは2次元であり、また効果的な圧縮アルゴリズムが存在するので、データの転送時間や保存容量の問題を生じない。本研究では、Yin-Yang格子(および最近提案されたその変種「Yin-Yang-Zhong格子」)と呼ばれる計算格子に基づいたシミュレーションに注目した。Yin-Yang格子はもともと地球ダイナモシミュレーションのために考案されたものであるが、最近では、マントル対流や太陽物理、大気・海洋シミュレーションや超新星爆発のシミュレーションなど、様々な分野で利用されている。現在のところそのようなシミュレーションのほとんどはポストプロセス可視化によって解析されているが、大規模並列計算に適しているのがYin-Yang(-Zhong)格子の特徴であるため、今後はこれらの様々な分野におけるシミュレーションをin-situ可視化手法で解析する需要が高まることが予想される。豊富な可視化機能を実装した汎用可視化ソフトの中には、in-situ可視化に対応する機能を持つものも存在するが、そのようなin-situ可視化機能を持つ汎用ソフトをスーパーコンピュータ上で利用することは現実には難しい。しかしながら、Yin-Yang(-Zhong)格子は球ジオメトリに特化した計算格子であり、また、今のところ流体系の問題に応用される場合がほとんどであるので、汎用可視化ソフトに実装されている機能のほとんどが不要である。そこで本研究では、(i)Yin-Yang(-Zhong)格子を用いたシミュレーションに適した、(ii)必要最小限の機能を持ち、(iii)シミュレーション研究者にとって使いやすいだけでなく、(iv)シミュレーションの実行速度に大きな影響を与えない、簡易なin-situ可視化手法を開発し、Fortranのライブラリとして実装した。回転球殻ダイナモシミュレーションと球内のMHD緩和現象のシミュレーションへの応用も紹介する。