日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-GI 地球科学一般・情報地球科学

[M-GI22] 計算科学による惑星形成・進化・環境変動研究の新展開

2016年5月24日(火) 09:00 〜 10:30 A07 (アパホテル&リゾート 東京ベイ幕張)

コンビーナ:*牧野 淳一郎(理化学研究所計算科学研究機構)、林 祥介(神戸大学・大学院理学研究科 惑星学専攻/惑星科学研究センター(CPS))、井田 茂(東京工業大学大学院理工学研究科地球惑星科学専攻)、相川 祐理(筑波大学計算科学研究センター)、小河 正基(東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻)、梅村 雅之(筑波大学計算科学研究センター)、座長:井田 茂(東京工業大学大学院理工学研究科地球惑星科学専攻)

09:15 〜 09:30

[MGI22-02] 星・惑星系形成領域の有機物進化

*相川 祐理1 (1.筑波大学計算科学研究センター)

キーワード:星間化学、星・惑星系形成

近年、太陽質量程度の原始星の周囲でギ酸やジメチルエーテル等の大型有機分子の輝線観測が盛んに行われている。ALMAの試験観測では原始星IRAS16293の周囲に最も簡単な糖であるグリコールアルデヒドも検出された(Jorgensen et al. 2012)。これらの分子は比較的昇華温度が高いこと、またその生成にはダスト表面反応が重要な役割を果たすと予想されることから、固相には輝線で見える気相よりもさらに多くの大型有機分子が存在すると期待される。星・惑星系形成領域での大型有機分子、特に固相での存在度は、固体集積で形成される地球型惑星さらには生命の材料物質としても重要である。しかし、固相の大型有機分子の詳細な組成と存在量を観測で直接調べることは困難である。よって輝線観測と理論を組み合わせて気相・固相の物質進化を総合的に理解しなくてはならない。ここで必要となる理論は(i)星・惑星系形成のダイナミクス、(ii) 気相・固相での素反応を組み合わせた化学反応ネットワークモデル、(iii) 素反応の反応過程・反応係数と多岐にわたる。講演では、星形成前の冷たい分子雲コアから円盤形成に至る3次元輻射流体計算をもとに気相・固相の組成進化を追った数値シミュレーションなど最近の研究例を紹介し、上記(ii)(iii)の現状と課題を議論する。