日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-GI 地球科学一般・情報地球科学

[M-GI22] 計算科学による惑星形成・進化・環境変動研究の新展開

2016年5月24日(火) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*牧野 淳一郎(理化学研究所計算科学研究機構)、林 祥介(神戸大学・大学院理学研究科 惑星学専攻/惑星科学研究センター(CPS))、井田 茂(東京工業大学大学院理工学研究科地球惑星科学専攻)、相川 祐理(筑波大学計算科学研究センター)、小河 正基(東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻)、梅村 雅之(筑波大学計算科学研究センター)

17:15 〜 18:30

[MGI22-P01] 惑星形成N体計算の大粒子数化に向けて:FDPSを用いたParticle-Particle Particle-Tree法の並列計算

*山川 暁久1牧野 淳一郎2斎藤 貴之3小南 淳子3竹山 浩介1 (1.東京工業大学理学院地球惑星科学系、2.理化学研究所計算科学開発機構、3.東京工業大学地球生命研究所)

キーワード:N体計算、惑星形成、微惑星

微惑星集積による地球型惑星の形成過程はN体計算によって解明されつつあり、暴走成長や寡占成長(Kokubo & Ida 1996, 1998)といった形成過程が存在することが明らかとなっている。しかし、これまでのN体計算は計算コストの問題から、完全合体を仮定したうえで狭い領域を少ない粒子数で計算するものがほとんどである。より現実的な惑星形成過程のシミュレーションには、衝突による破壊を考慮した上で、より多粒子による長時間積分を行う必要がある。
そこで我々は本研究において、大粒子数で惑星形成過程をシミュレートするために、計算効率の良いアルゴリズムであるP3T法の並列化の実装を行った。本講演ではその性能を示す。
P3T法では、2粒子間の重力を滑らかなカットオフ関数によって近距離力と遠距離力とに分割する。近距離力は粒子間相互作用を高精度に直接計算した上で、エルミート法と独立時間刻みによって高精度に積分する。遠距離力はツリー法とリープフロッグ法によって効率良く積分する。P3T法を用いることにより、低い計算コストで高精度に時間積分することができる。P3T法を並列計算によって高速化するために、ツリー法の領域分割を高速に処理するライブラリであるFDPS(Framework for Developing Particle Simulator)を用いる。
P3T法とFDPSを用いて並列計算することにより、大粒子数での惑星形成N体計算が可能であることを示す。