日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-GI 地球科学一般・情報地球科学

[M-GI22] 計算科学による惑星形成・進化・環境変動研究の新展開

2016年5月24日(火) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*牧野 淳一郎(理化学研究所計算科学研究機構)、林 祥介(神戸大学・大学院理学研究科 惑星学専攻/惑星科学研究センター(CPS))、井田 茂(東京工業大学大学院理工学研究科地球惑星科学専攻)、相川 祐理(筑波大学計算科学研究センター)、小河 正基(東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻)、梅村 雅之(筑波大学計算科学研究センター)

17:15 〜 18:30

[MGI22-P07] 高解像度LESによる火星ダストデビルの統計的性質

*西澤 誠也1小高 正嗣2高橋 芳幸3杉山 耕一朗4中島 健介5石渡 正樹2竹広 真一6八代 尚1佐藤 陽祐1富田 浩文1林 祥介3 (1.理化学研究所計算科学研究機構、2.北海道大学、3.神戸大学、4.宇宙科学研究所、5.九州大学、6.京都大学)

キーワード:火星、ダストデビル

火星大気大循環においてダストデビルは重要な役割をもつと考えられている。そこでダストデビルの統計的性質を調べるため、高解像度広領域のLES実験を行った (解像度 5 m, 領域サイズ 約 20 x 20 km2)。用いたモデルは、理化学研究所計算科学研究機構で開発を行っている SCALE-LES (Nishizawa et al. 2015, Sato et al. 2015) である。境界層が最も発達する 14:30 および 15:00 における強い鉛直渦を抽出し、その統計的性質を調べた。本研究では、強い鉛直孤立渦をダストデビルと定義している。ランキン渦 (Rankine 1882) フィッティングやバーガースロット渦 (Burgers, 1948, Rott 1958) フィッティング、最大接線風速抽出の3通りの方法で渦を抽出し、ダストデビルのサイズや強さに関する頻度分布を明らかにした。鉛直渦度は指数分布を、サイズや循環は冪則分布をもつことを示した。
また、グリッドリファイメント実験をおこない、これらの性質の実験解像度依存性の考察をおこなった。これにより、結果のロバスト性を検証するとともに、ダストデビルを解像するために必要な解像度の議論を行った。
本研究は、地表から大気に供給されるダスト量のより正確な見積もりや、大循環モデルにおけるダストパラメタリゼーションの高度化に資するものである。