日本地球惑星科学連合2016年大会

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インターナショナルセッション(ポスター発表)

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS02] International Geosciences and Geoparks Programmeのこれから

2016年5月24日(火) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*中田 節也(東京大学地震研究所)、渡辺 真人(産業技術総合研究所地質情報研究部門)、目代 邦康(自然保護助成基金)、斎藤 文紀(国立研究開発法人産業技術総合研究所地質情報研究部門)

17:15 〜 18:30

[MIS02-P08] Linking locals to the global network through the IGGP
-From the discussions in the UNESCO Global Geoparks Celebration Forum-

*中村 真介1飯田 義彦2齊藤 清一3 (1.白山手取川ジオパーク推進協議会、2.国連大学サステイナビリティ高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット、3.日本ジオパークネットワーク)

キーワード:geoparks, international cooperation, local, networking

国際地球科学ジオパーク計画(IGGP)は2015年11月に立ち上げられ、世界ジオパークに新たなユネスコ認証をもたらした。この機会を捉え、日本ジオパークネットワーク(JGN)は、白山手取川ジオパークと国連大学サステイナビリティ高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット(UNU-IAS OUIK)とともに、2016年1月23~24日にユネスコジオパーク誕生記念フォーラムを開催した。フォーラムにおける議論を踏まえ本稿では、日本において、IGGPを通じて地域(特に自治体)をいかに国際ネットワークとつなげられるかを議論する。
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ジオパークは地域主導の取り組みであると同時に、国際的な取り組みでもある。2004年に設立された世界ジオパークネットワーク(GGN)の動きが、この新しいユネスコ世界ジオパーク認証につながった。JGNは(前身を含め)2007年に設立され、現在では50以上の地域と日本の自治体の10%以上を巻き込んでいる。これらのネットワークなしには、現在のジオパークの盛り上がりはなかった。それゆえ、ネットワークへの貢献は不可欠である。しかしながら、地域は国際ネットワークと付き合っていくことに慣れておらず、国内ネットワークの中でさえ課題を抱えている。
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日本では、自治体がジオパークの運営に主要な役割を担っており、JGNが日本中のジオパークとジオパークを目指す地域をつなぐという重要な役割を担っている。JGN会員の多くは年に2回、JpGUと全国大会で集まり、また全国研修会やブロック別大会でも集まっている。これらの会合には相応の旅費が必要だが、それは自治体にとっては異例なことである。
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ほとんどの自治体は姉妹都市をもち、市民交流を定期的に実施している。加えて、多くの自治体が若い外国人を外国語指導助手(ALT)や国際交流員(CIR)として雇用している。「国際」という言葉は自治体にとって憧れであるものの、外国人との接点はこれがほぼすべてである。事実、ジオパークの国際会議に出席するために海外に行くこと自体が、自治体にとっては一大事業である。
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それゆえ日本からは国際ネットワークへの十分な参画がなく、それがフォーラムでの議論の主要な焦点であった。地域は、「何によって」「どのように」国際協力をすればよいか悩みを抱えている。フォーラムでは、いくつかの可能性が指摘された。
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「何によって」については、2点ある。変動帯の日本では、地震・津波・火山噴火・地すべりなど、多様な地質災害がある。この災害大国の人々は歴史的にこれらの災害を受容しており、この経験は他国ともっと共有できるものである。もう1つのポイントは、JGNの活動そのものである。JGNは、一般向け雑誌の発行、オンラインジャーナルの発行、多様な市民向けイベントや会合、ワーキンググループの活動など、多様な活動を実施している。しかし残念ながら、これらの経験は他国と十分に共有されておらず、日本社会の中ですら十分に共有されていない。
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「どのように」については、われわれがすぐに取れるかもしれない行動が8点、下記のように指摘された:
1. 市民やガイドレベルにおけるネットワーキングを進める
2. 出版をする(例:日本の事例集を英訳する)
3. 国際ワークショップを(個別にではなく)開催する
4. 現地審査と再審査のための審査員を派遣する
5. ガイドラインやルール作りの過程に(読むだけではなく)参画する
6. ユネスコにスタッフを派遣する
7. 多様な国内機関から資金を集める
8. (1つのチャンネルだけではなく)多様な人物と連絡を取る
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自治体は、国際協力のための十分な予算やノウハウを有していない。しかしこれらの議論を踏まえれば、地域は多様なパートナーとともに、国際ネットワークと本当の意味でつながる道を見つけることができるだろう。