17:15 〜 18:30
[MIS03-P03] Development of radon detector for atmosphere
キーワード:Radon detection, atmosphere, earthquake
1995年の兵庫県南部地震では西宮市地下水中ラドン濃度の上昇1や大気中ラドン濃度の上昇(神戸薬科大学)2があったと報告されている。また、東北地方太平洋沖地震では、「福島医科大学(福島市)の放射線施設内の排気モニターのデータが地震前のピークはピーク期間が長く、急激に減少した後,地震が発生した。」と報告されている3。
私達は倉敷鉱山抗内、千葉県において空気中のラドン濃度の連続観測を行っている。倉敷では、家庭用ラドン測定器SUN NUCLEAR CorporationのRadon Monitor, Modelを、千葉ではPylon社PMT-TEL静電補集型低レベルラドンガス検出器(以後TELと略す)を用いている。TELはZnS(Ag) シンチレータと光電子増倍管から構成されている。しかし,α線を検出しているにも係わらず,その出力は連続スペクトルとなっている。その為,計数はディスクリレベルに依存し,カウントのシフトが起こることがある。他方,PINフォトダイオードは高感度ラドン検出器として開発され,スーパーカミオカンデにおいて使われてきている4。今回我々は,PINフォトダイオードを用いて,空気中のラドンを検出するラドン検出器を製作した。
PINフォトダイオードとして浜松ホトニクスの未封止S3204-09を使用した。空気容器としてステンレス鍋,チャージ増幅器としてH4083,小型高圧電源モジュールとしてC4900-01,波形整形増幅器としてクリアパルス社の4419型,マルチチャンネルアナライザーとしてラボラトリーイクイップメント社のMCA-Lite,そして測定データ保存表示用にパソコンを使って,ラドン検出システムを製作した。マルチチャンネルアナライザーの出力は,鉱物ウラナイトからラドン娘核種の218Po and 214Poの明確なアルファ線ピークを検出した。このピークは大きなピークシフトを示したが,白いセラミックの表面をカーボンテープで覆うことで克服した。このシステムにシリカゲルで除湿した大気を導入したところ,同じラドン娘核種のピークを検出し,強度の日変化を観測することができた。
参考文献
1) G. Igarashi, T. Saeki, N. Takahata, Y. Sano, K. Sumikawa, S. Tasaka, Y. Sasaki, M. Takahashi: Groundwater radon anomaly before the Kobe earthquake, Science, 269, 60-61, 1995
2) Yasuoka, Y. and Shinogi, M.: Anomaly in atmospheric radon concentration: a possible precursor of the 1995 Kobe, Japan, earthquake. Health Physics, 72, 759-761, 1997
3) 長濱裕幸,安岡由美,鈴木俊幸,本間好:東北地方太平洋沖地震(MW=9.0)前の大気中ラドン濃度異常について. 日本地震学会講演予稿集, A32-09, 2011
4) 根本真知子,田坂茂樹,堀秀充,奥村公宏,梶原隆章,竹内康雄:静電捕集型超高感度空気中ラドン検出器の開発,RADIOISOTOPES, 46, 710-719, 1997.
私達は倉敷鉱山抗内、千葉県において空気中のラドン濃度の連続観測を行っている。倉敷では、家庭用ラドン測定器SUN NUCLEAR CorporationのRadon Monitor, Modelを、千葉ではPylon社PMT-TEL静電補集型低レベルラドンガス検出器(以後TELと略す)を用いている。TELはZnS(Ag) シンチレータと光電子増倍管から構成されている。しかし,α線を検出しているにも係わらず,その出力は連続スペクトルとなっている。その為,計数はディスクリレベルに依存し,カウントのシフトが起こることがある。他方,PINフォトダイオードは高感度ラドン検出器として開発され,スーパーカミオカンデにおいて使われてきている4。今回我々は,PINフォトダイオードを用いて,空気中のラドンを検出するラドン検出器を製作した。
PINフォトダイオードとして浜松ホトニクスの未封止S3204-09を使用した。空気容器としてステンレス鍋,チャージ増幅器としてH4083,小型高圧電源モジュールとしてC4900-01,波形整形増幅器としてクリアパルス社の4419型,マルチチャンネルアナライザーとしてラボラトリーイクイップメント社のMCA-Lite,そして測定データ保存表示用にパソコンを使って,ラドン検出システムを製作した。マルチチャンネルアナライザーの出力は,鉱物ウラナイトからラドン娘核種の218Po and 214Poの明確なアルファ線ピークを検出した。このピークは大きなピークシフトを示したが,白いセラミックの表面をカーボンテープで覆うことで克服した。このシステムにシリカゲルで除湿した大気を導入したところ,同じラドン娘核種のピークを検出し,強度の日変化を観測することができた。
参考文献
1) G. Igarashi, T. Saeki, N. Takahata, Y. Sano, K. Sumikawa, S. Tasaka, Y. Sasaki, M. Takahashi: Groundwater radon anomaly before the Kobe earthquake, Science, 269, 60-61, 1995
2) Yasuoka, Y. and Shinogi, M.: Anomaly in atmospheric radon concentration: a possible precursor of the 1995 Kobe, Japan, earthquake. Health Physics, 72, 759-761, 1997
3) 長濱裕幸,安岡由美,鈴木俊幸,本間好:東北地方太平洋沖地震(MW=9.0)前の大気中ラドン濃度異常について. 日本地震学会講演予稿集, A32-09, 2011
4) 根本真知子,田坂茂樹,堀秀充,奥村公宏,梶原隆章,竹内康雄:静電捕集型超高感度空気中ラドン検出器の開発,RADIOISOTOPES, 46, 710-719, 1997.