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[MIS06-P07] 森林流域内における地形の違いがヒノキ葉の窒素・リンのストイキオメトリーに与える影響
キーワード:リン制限、窒素飽和、大気沈着、蛇紋岩
植物中の窒素(N):リン(P)比などのストイキオメトリーは増加した窒素沈着によるリン制限を診断する際に用いられている.しかし,森林流域内におけるN:P比の空間分布については評価されていない.本研究は,窒素沈着量が比較的多く(16 kg N/ha/yr),可給態リンの少ない岩石(蛇紋岩)の流域内において27プロットのサンプリングを行い,ヒノキのN, P濃度,N:P比およびそれらの空間分布を解析した.その結果,葉中のリン濃度は流域全体で低く(0.66 ± 0.16 mg/g),窒素濃度は高く(13.0 ± 1.5 mg/g),N:P比は高かった(21 ± 5).さらに,ヒノキの成長はNリター量よりもPリター量で説明できた.これらの結果は本研究サイトでヒノキのリン制限を示すものであった.しかし,27地点中7地点でリン制限と提唱されているN:P比が16に近いかそれ以下であった.葉中リン濃度は窒素よりも森林流域内における凹凸度の空間分布に対応しており,N:P比も凹凸度と相関が見られた.これらの結果はN:P比が地形の空間分布の影響を受けることを示していた.これは,増加した窒素沈着によって窒素の空間分布は小さくなることによって引き起こされると考えられた.以上のことから,窒素沈着によって引き起こされるリン制限の診断には地形の空間分布を考慮する必要があることが分かった.