日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS07] ジオパーク

2016年5月25日(水) 10:45 〜 11:45 101A (1F)

コンビーナ:*尾方 隆幸(琉球大学教育学部)、植木 岳雪(千葉科学大学危機管理学部)、藁谷 哲也(日本大学大学院理工学研究科)、平松 良浩(金沢大学理工研究域自然システム学系)、有馬 貴之(帝京大学 経済学部 観光経営学科)、大野 希一(島原半島ジオパーク協議会事務局)、松原 典孝(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、座長:藁谷 哲也(日本大学大学院理工学研究科)

11:00 〜 11:15

[MIS07-08] 集客力のあるジオツアーの構成要素の模索

*伊藤 英之1熊谷 誠2鈴木 正貴1辻 盛生1島田 直明1 (1.岩手県立大学総合政策学部総合政策学科、2.岩手県立大学大学院)

キーワード:ジオパーク、ジオツーリズム、インターネットアンケート

ジオパーク活動においては,ジオの保全,教育とジオツーリズムの活性化が重要な課題となる.そのなかでもジオツーリズムの活性化による持続的な地域発展への期待は大きい.伊藤他(2015)は,インターネットアンケートを用いてジオツーリズムの顧客となりうる旅行者の動向,旅行者のニーズ等について把握を行い,観光客は旅行に「癒やし」と「非日常性」を求めていることを明らかにした.本研究では,インターネットアンケートを用いて,ジオツーリズムの顧客となり得る一般的な観光客が感じる魅力的なジオツアーの方向性を定量的に把握した.
調査にはNTTコムオンライン・マーケティング・ソリューションが提供するNTTコムリサーチライトを使用した.アンケートは2015年9月27~28日にかけて実施した.予定回答者数は400と設定し,433の回答が回収された.
回答者は50代が全体の29.8%を占め,回答者の64.0%が男性である.居住地では東京都,埼玉県,千葉県,神奈川県など首都圏と愛知県,大阪府,福岡県など大都市を有する都府県が多い。
アンケートでは,JGNに加盟する各地のジオパークにおける特徴的なジオツアーや「るるぶ」「じゃらん」等の旅行専門サイトのウェブサイトより一般的なパック旅行に含まれる項目を抽出し,「どのツアーに参加したいか」を複数回答で聞いた.その結果,「温泉」「郷土料理を楽しむ」など定番のツアーほど積極的な回答が得られた.一方,「風景・地形を楽しむ」「地層観察・化石採取」などジオツアーとして一般的なものの人気はそれほど高くない.また,「歴史巡り」「神社・仏閣・城等をめぐる」ツアーもさほど人気があるようには見えない.年齢別の傾向も顕著に認められなかった.
そこで,これらツアーを変数として,分散共分散行列を用いて主成分分析を行った後,主成分得点を変数としてクラスター分析(IBM社,SPSS Statistics Ver,23)を行った.その結果,第1主成分として,「神社・仏閣・城めぐり」,「歴史めぐり」に代表される項目が,第2主成分として,「バードウオッチング・アニマルウオッチング」「植物観察」「登山・トレッキング」など自然観察に代表される項目が抽出された.
回答者は4つのクラスターに分類され,特にクラスター3は自然に関連する項目にも,歴史・文化に関する項目にも強い興味を有する傾向が認められた.これらのことから,ジオツアーのテーマとして,自然現象のみならず歴史や文化までをシームレスに表現することが,集客につながる可能性を示唆していると考えられる.