17:15 〜 18:30
[MIS07-P05] 三陸鉄道を用いた三陸ジオパーク観光の可能性
キーワード:三陸ジオパーク、三陸鉄道、観光
はじめに
2013年9月に三陸ジオパークが日本ジオパークに認定され、地域住民は三陸ジオパークに対して地域活性化に繋がればと期待を寄せている。しかしながら現状では日本ジオパーク認定による直接的な交流人口拡大には至っていない。
伊藤、他(2015)によると三陸沿岸を印象付ける大きな要素の一つに三陸鉄道があげられている。また三陸旅行の際に三陸鉄道を利用する観光客も少なからず存在していることが明らかとなっている。しかし三陸旅行における三陸内の移動実態やジオサイト間の移動についての調査はほとんど行われていない。
したがって本研究ではインターネットアンケート調査で三陸鉄道に対するイメージや目的、三陸鉄道からJR東日本気仙沼駅までの利用状況、三陸旅行のニーズなどを把握し、三陸ジオパークエリアの三陸鉄道を活用したマーケティング戦略を考察することを目的とする。
2調査手法と調査対象
本調査ではインターネット調査会社NTTコムオンライン・マーケティングソリューション株式会社のNTTコムリサーチを利用した。予定回答数は400と設定した。422のサンプルが回収された。伊藤、他(2015)によると三陸旅行のメインターゲットは関東・東北地方であることが明らかになっていることから、回答者を三陸に訪れたことがありなおかつ関東・東北地方在住である人に対象を絞った。
回答者の属性として、現住所に関しては最も高いのが東京都(27.7%)次いで神奈川県(19.7%)となっている。千葉県(12.8%)と埼玉県(10.4%)を加えると4都県で全体の70.6%を占める。
また年代は40代から60代の割合が高く、50代以上のシニア層が66%を占めている。回答者の男女比は男性72%、女性28%と男性の方が多い結果となった。
3三陸鉄道の利用状況
三陸に訪れたことがある回答者の中で三陸鉄道を利用したことがある割合は39.6%であった。そのうちの91.6%が観光を目的としており、利用状況としては北リアス線が多く利用されていた。主要駅の乗降傾向としては久地駅で乗車し宮古駅までの主要駅で降車していることが示唆される。
4三陸旅行者の特徴
三陸旅行について回答者に尋ねたところ最も多く三陸に訪れた季節は夏で44.4%、次いで春の28.8%、秋が20.3%となっている。どの季節も平日に最も多く三陸に訪れている。一方夏のみ夏季休暇が平日に並び高い数値を示している。三陸までの移動手段としては電車が69.3%、自家用車が27.5%、バスが11.8%となり電車が最も利用されていることが明らかとなった。また三陸旅行は盛岡を起点とし盛岡を終点とする傾向が見られた。三陸旅行の主な目的としては美味しい海産物を食べる、雄大な自然を見る、心身の疲れを癒す、三陸鉄道に乗る等の項目があげられる。
5共通の傾向が見られる項目
三陸までの交通手段、三陸旅行の起点、三陸への訪問期間の3つの項目に関しては年代が挙がるごとに選択肢の一つの割合が比例して上昇するという共通点が明らかとなった。三陸までの交通手段の項目では電車の選択肢が、三陸旅行の起点の項目では盛岡の選択肢が、三陸への訪問期間の項目では平日の選択肢がそれぞれ上昇した。また三陸鉄道のイメージは「震災」「美しい海岸線」「あまちゃん」「海産物」の項目をイメージとして抱いていることが明らかとなった。三陸鉄道のイメージについて分散共分散行列による主成分分析を行ったのちに、主成分分析を変数としてクラスター分析を行ったものを図1に示す[i1] 。比較的X軸Y軸ともに正の方向に分布しているクラスターが存在している。このクラスターの特徴として、三陸鉄道のイメージに関して「温かみ」「癒し」といったホスピタリティに関わる項目や、「のどか」「素朴」といった項目が高い数値を示している。三陸旅行の目的としては,[三陸鉄道に乗る]「美味しい海産物を食べる」「雄大な自然を見る」に並び高い数値を示した。また第1主成分が高い数値で一定して分布している一方、第2主成分の数値は拡散して分布しているグループが確認できる。
6回答者の特徴を踏まえたマーケティング戦略
今回のアンケート結果を踏まえて,今後,年代、広報手段、旅行期間、旅の内容等を対象に合わせた三陸鉄道を利用した交流人口拡大のための具体的な戦略を考える必要がある.
7引用
伊藤・他(2015):地学雑誌,No.4,561‐574.
田村良一・森田昌嗣(2006):デザイン学研究,53(4),13‐22.
安本宗春(2014):日本国際観光学会文集,21号,145‐151.
じゃらんリサーチセンター(2015):じゃらん宿泊調査 2015.
じゃらんリサーチセンター(2013):じゃらん宿泊調査 2013.
2013年9月に三陸ジオパークが日本ジオパークに認定され、地域住民は三陸ジオパークに対して地域活性化に繋がればと期待を寄せている。しかしながら現状では日本ジオパーク認定による直接的な交流人口拡大には至っていない。
伊藤、他(2015)によると三陸沿岸を印象付ける大きな要素の一つに三陸鉄道があげられている。また三陸旅行の際に三陸鉄道を利用する観光客も少なからず存在していることが明らかとなっている。しかし三陸旅行における三陸内の移動実態やジオサイト間の移動についての調査はほとんど行われていない。
したがって本研究ではインターネットアンケート調査で三陸鉄道に対するイメージや目的、三陸鉄道からJR東日本気仙沼駅までの利用状況、三陸旅行のニーズなどを把握し、三陸ジオパークエリアの三陸鉄道を活用したマーケティング戦略を考察することを目的とする。
2調査手法と調査対象
本調査ではインターネット調査会社NTTコムオンライン・マーケティングソリューション株式会社のNTTコムリサーチを利用した。予定回答数は400と設定した。422のサンプルが回収された。伊藤、他(2015)によると三陸旅行のメインターゲットは関東・東北地方であることが明らかになっていることから、回答者を三陸に訪れたことがありなおかつ関東・東北地方在住である人に対象を絞った。
回答者の属性として、現住所に関しては最も高いのが東京都(27.7%)次いで神奈川県(19.7%)となっている。千葉県(12.8%)と埼玉県(10.4%)を加えると4都県で全体の70.6%を占める。
また年代は40代から60代の割合が高く、50代以上のシニア層が66%を占めている。回答者の男女比は男性72%、女性28%と男性の方が多い結果となった。
3三陸鉄道の利用状況
三陸に訪れたことがある回答者の中で三陸鉄道を利用したことがある割合は39.6%であった。そのうちの91.6%が観光を目的としており、利用状況としては北リアス線が多く利用されていた。主要駅の乗降傾向としては久地駅で乗車し宮古駅までの主要駅で降車していることが示唆される。
4三陸旅行者の特徴
三陸旅行について回答者に尋ねたところ最も多く三陸に訪れた季節は夏で44.4%、次いで春の28.8%、秋が20.3%となっている。どの季節も平日に最も多く三陸に訪れている。一方夏のみ夏季休暇が平日に並び高い数値を示している。三陸までの移動手段としては電車が69.3%、自家用車が27.5%、バスが11.8%となり電車が最も利用されていることが明らかとなった。また三陸旅行は盛岡を起点とし盛岡を終点とする傾向が見られた。三陸旅行の主な目的としては美味しい海産物を食べる、雄大な自然を見る、心身の疲れを癒す、三陸鉄道に乗る等の項目があげられる。
5共通の傾向が見られる項目
三陸までの交通手段、三陸旅行の起点、三陸への訪問期間の3つの項目に関しては年代が挙がるごとに選択肢の一つの割合が比例して上昇するという共通点が明らかとなった。三陸までの交通手段の項目では電車の選択肢が、三陸旅行の起点の項目では盛岡の選択肢が、三陸への訪問期間の項目では平日の選択肢がそれぞれ上昇した。また三陸鉄道のイメージは「震災」「美しい海岸線」「あまちゃん」「海産物」の項目をイメージとして抱いていることが明らかとなった。三陸鉄道のイメージについて分散共分散行列による主成分分析を行ったのちに、主成分分析を変数としてクラスター分析を行ったものを図1に示す[i1] 。比較的X軸Y軸ともに正の方向に分布しているクラスターが存在している。このクラスターの特徴として、三陸鉄道のイメージに関して「温かみ」「癒し」といったホスピタリティに関わる項目や、「のどか」「素朴」といった項目が高い数値を示している。三陸旅行の目的としては,[三陸鉄道に乗る]「美味しい海産物を食べる」「雄大な自然を見る」に並び高い数値を示した。また第1主成分が高い数値で一定して分布している一方、第2主成分の数値は拡散して分布しているグループが確認できる。
6回答者の特徴を踏まえたマーケティング戦略
今回のアンケート結果を踏まえて,今後,年代、広報手段、旅行期間、旅の内容等を対象に合わせた三陸鉄道を利用した交流人口拡大のための具体的な戦略を考える必要がある.
7引用
伊藤・他(2015):地学雑誌,No.4,561‐574.
田村良一・森田昌嗣(2006):デザイン学研究,53(4),13‐22.
安本宗春(2014):日本国際観光学会文集,21号,145‐151.
じゃらんリサーチセンター(2015):じゃらん宿泊調査 2015.
じゃらんリサーチセンター(2013):じゃらん宿泊調査 2013.