日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS08] 地震・火山等の地殻活動に伴う地圏・大気圏・電離圏電磁現象

2016年5月25日(水) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*児玉 哲哉(宇宙航空研究開発機構研究開発部門第一研究ユニット)、芳原 容英(電気通信大学 大学院情報理工学研究科)、長尾 年恭(東海大学海洋研究所)、早川 正士(株式会社 早川地震電磁気研究所)

17:15 〜 18:30

[MIS08-P02] 東海大学方式VLF帯パルス電磁波観測装置の開発と観測

*長尾 年恭1鴨川 仁2井筒 潤3馬塲 久紀4 (1.東海大学海洋研究所、2.東京学芸大学、3.中部大学、4.東海大学海洋学部)

キーワード:地震先行現象、VLF帯

これまでにも各種の電磁気学的な地震先行現象が報告されているが特に興味深い伝承として地震の前に何らかの雑音が入るという話が残っている。1945年の三河地震では、その頃は第二次世界大戦中であり、空襲警報を聞くためにラジオの電源は常に入った状態であり、「余震の前にはラジオに雑音が入るので前もっとわかった」との伝聞が残っている。その後、先駆的な研究が京都大学の尾池らによって行われた。また1995年の兵庫県南部地震の前にはそれまで観測された事が無いほどのVLF帯パルスが観測されたとの報告もある。元東海地震判定会会長の浅田敏らは東海大学開発技術研究所在職中の1990年代、VLF帯パルス電磁波観測装置を作成し非常に興味深い成果を公表した(Asada et al, 2001, EPS)。 このような経緯もあり、東海大学海洋研究所地震予知研究センターでは、いわゆる国の地震予知研究計画にVLF帯でのパルス電磁波の観測を現在のテクノロジーで再挑戦したいというプロポーザルを提出し、2014年度から開始された、「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」でその計画が採択され、2018年度までの5ヶ年計画の中で正式に実施する事が承認された。
センサーは浅田らが用いたコイルセンサーを忠実に再現した。これは、当時誰も地震に先行する電磁波の性質がわからなかった段階で、最も有望な成果が出ている事から、まずは同じ周波数特性を持つコイルセンサーで研究を再開すべきと考えたためである。今回、A/Dコンバータとしていくつかの候補が上がったが、最終的に特殊電子回路(株)の12ビット、6チャンネル、最大100MHzサンプリングが可能なものを採用した。
現在、雷を用いて計測器の性能チェックを行っている。当初、先行研究に習い、方位探査により波源を求める事を考えていたが、100MHzで観測を実施すると地震学と同様な波動の到達時間差を用いた波源決定がより有効である事が判明した。現在、東海大、東京学芸大、金沢大の3地点で観測を継続している。今後は波形の相互相関処理等を用いて波源を決定するソフトウエアの開発や、非常に短時間のパルス状のノイズを除去するデジタルフィルタ等の開発を行っていく予定である。なお本研究は文部科学省による「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」の支援を受け実施されています。