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[MIS09-15] 表層メタンハイドレートに含まれるメタノールからみたメタンハイドレート生成年代推定の試み
キーワード:表層メタンハイドレート、生成年代、メタノール、ガスクロマトグラフィー、自然放射線
メタンハイドレートは,メタン分子が水分子により形成された籠(ケージ)構造に取り込まれている包接化合物で,日本近海の海底にも多く分布していることが確認されている(Matsumoto et al., 2011).砂層の孔隙充填型メタンハイドレートに比べると,表層型ではサイズの大きいメタンハイドレート試料が回収されており(Lu et al., 2011),X−CTによる3次元観察も進められている(谷ほか, 2013).我々は,このメタンハイドレートがいつどのように生成したのかということに興味を持ち,研究を進めてきた.これまでの研究から,環境放射線によりメタンハイドレート内部にメタノールやホルムアルデヒドが生成し,その量がメタンハイドレートの生成年代の指標となりうることを示した(Tani et al., 2008; Tani et al., 2011; 谷, 2013).しかし,メタノールやホルムアルデヒドは環境放射線による生成量が微量であることや,メタンハイドレート近傍の堆積物の間隙水に微量ながら含まれていることから,浅部から回収したメタンハイドレート試料ではメタンハイドレート生成年代に関する議論を十分に行えていなかった(谷ほか, 2011).本研究では,2015年度に実施された掘削調査において採取したメタンハイドレート試料を対象とし,そこに含まれるメタノール量を計測することで,堆積年代とメタンハイドレートの生成年代について議論する.なお,本研究は経済産業省メタンハイドレート開発促進事業の一環として実施されたものである.