17:15 〜 18:30
[MIS09-P01] 安定同位体比を用いたメタンハイドレート賦存海域に生息する生物群集の食物網解析
キーワード:メタンハイドレート、底生生物、食物網、安定同位体比
メタンハイドレート賦存海域の生物群集の生態系を明らかにするため、上越沖および最上トラフにおいて採取した堆積物試料および生物試料の炭素・窒素・硫黄安定同位体比の測定を行った。さらに、食物網の解析およびハイドレート賦存域の底層水において炭素と硫黄の物質循環について考察を行った。
2013年9月と2014年10月にハイドレート賦存域とメタン湧出域ではないレファレンスサイトにおいて、スラープガンやクマデを用いて底生生物をサンプリングした。また、MBARI採泥器を用いて表層0~2.5, 2.5~5 cmの堆積物試料のサンプリングを行った。大型底生生物試料は船上で解剖し、分析まで冷凍保存した。小型底生生物試料はふるいにかけて冷凍保存した。研究室に持ち帰った試料は、凍結乾燥により粉末状にした。塩酸溶液により無機炭酸を除去し水酸化ナトリウムで中和した後、同位体比質量分析計 (Flash 2000/Delta V IRMS, Thermo Scientific社) により炭素および窒素の安定同位体比の測定を行った。硫黄安定同位体比は、乾燥した生物試料と酢酸亜鉛と塩化バリウム溶液で生成した沈殿物をろ過したサンプルを用いて同様に測定を行った。
その結果、ベニズワイガニとノロゲンゲ、ホッコクアカエビ、ヨコエビは、メタン湧出の影響のないレファレンスサイトとメタンハイドレート賦存海域のシープサイトの両サイトで採取したが、その炭素・窒素安定同位体比の値に有意な違いはなかった。ベニズワイガニらは、メタンシープ周辺に生息する個体においても主に光合成由来の炭素や海水由来の硫黄に依存していることが示された。一方、化学合成細菌由来の炭素や硫黄を利用しているキヌタレガイやヒゲムシなどの底生生物の存在も示された。
本研究は経済産業省のメタンハイドレート開発促進事業の一環として実施されたものである。
2013年9月と2014年10月にハイドレート賦存域とメタン湧出域ではないレファレンスサイトにおいて、スラープガンやクマデを用いて底生生物をサンプリングした。また、MBARI採泥器を用いて表層0~2.5, 2.5~5 cmの堆積物試料のサンプリングを行った。大型底生生物試料は船上で解剖し、分析まで冷凍保存した。小型底生生物試料はふるいにかけて冷凍保存した。研究室に持ち帰った試料は、凍結乾燥により粉末状にした。塩酸溶液により無機炭酸を除去し水酸化ナトリウムで中和した後、同位体比質量分析計 (Flash 2000/Delta V IRMS, Thermo Scientific社) により炭素および窒素の安定同位体比の測定を行った。硫黄安定同位体比は、乾燥した生物試料と酢酸亜鉛と塩化バリウム溶液で生成した沈殿物をろ過したサンプルを用いて同様に測定を行った。
その結果、ベニズワイガニとノロゲンゲ、ホッコクアカエビ、ヨコエビは、メタン湧出の影響のないレファレンスサイトとメタンハイドレート賦存海域のシープサイトの両サイトで採取したが、その炭素・窒素安定同位体比の値に有意な違いはなかった。ベニズワイガニらは、メタンシープ周辺に生息する個体においても主に光合成由来の炭素や海水由来の硫黄に依存していることが示された。一方、化学合成細菌由来の炭素や硫黄を利用しているキヌタレガイやヒゲムシなどの底生生物の存在も示された。
本研究は経済産業省のメタンハイドレート開発促進事業の一環として実施されたものである。