[M-IS10] 地球流体力学：地球惑星現象への分野横断的アプローチ

[MIS10-P04] 対流が抑制される雲層における凝結物粒子の落下に伴う熱輸送

*中島 健介¹、杉山 耕一朗⁶、小高 正嗣²、はしもと じょーじ⁷、高橋 芳幸^3,4、石渡 正樹²、竹広 真一⁵、林 祥介^3,4 (1.九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門、2.北海道大学大学院理学院宇宙理学専攻、3.惑星科学研究センター、4.神戸大学 大学院理学研究科惑星学専攻、5.京都大学数理解析研究所、6.宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所、7.岡山大学 大学院自然科学研究科)

キーワード：対流、雲物理、惑星大気、湿潤対流、火星、木星型惑星

地球大気ではH2Oの凝結は潜熱放出によって対流を強化する。しかし、惑星大気一般では、凝結層において対流が抑制される場合がある。たとえば、大気主成分が凝結する場合、凝結を伴うパーセルの密度が、飽和蒸気圧が温度と圧力に課す拘束のために、ほとんど許されない (Colaprete et al 2003; Yamashita et al, in revision). ここで我々は、凝結にともない対流が抑制されるような場合においても、凝結相の重力沈降が鉛直熱輸送に寄与しうることを提案する。すなわち、エントロピーの小さい凝結相の重力落下とエントロピーの大きい気相の平均的上昇運動の組み合わせによって、気相中に対流運動が無くても正味の上向きエントロピー輸送が可能である。当日は、上の機構の実現可能性について数値実験により検証する。なお、同様のメカニズムは、水素を主成分とする大気の中で H2O, NH3, あるいは CH4 する巨大ガス惑星の雲層で凝結成分の大きな分子量により対流が抑制される場合(Guillot, 1995) にも有効かもしれない。