日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS14] 大気電気学

2016年5月23日(月) 13:45 〜 15:15 203 (2F)

コンビーナ:*三浦 和彦(東京理科大学理学部)、鴨川 仁(東京学芸大学教育学部物理学科)、座長:吉田 智(気象庁気象研究所)

15:00 〜 15:15

[MIS14-06] VHF広帯域干渉計による多地点落雷の放電路進展様相

*森本 健志1斉喜 竜介1片田 健人1中村 佳敬2清水 雅仁3 (1.近畿大学、2.神戸市立工業高等専門学校、3.中部電力(株))

キーワード:雷放電、多重落雷、広帯域ディジタル干渉計

かつて複数の雷撃が同じ放電路を通って起こる多重落雷と考えられていた現象の中に、僅かの時間間隔で別の地点に落雷する多地点落雷が存在することが確認されている。多地点落雷は、送電線の雷故障現象を複雑化し、故障点発見や故障解析を困難なものとする。本稿では、その性状や発生過程を明らかにすることを目的として、岐阜県東濃地方において筆者らが行っている雷観測のうち、平成26年度の夏季に干渉計により放電路が良好に可視化され、同時に LLS(Lightning Location System) によるデータ取得に成功した多重または多地点落雷の放電路解析を行う。ここで、本稿における「多地点落雷」は、一連の雷放電内で、雷撃点が先行する雷撃と異なる後続雷撃を含む雷放電現象を指す。
干渉計、LLSで同時に観測された多重または多地点落雷は13例で、そのうち6例が多重落雷、2例が多地点落雷、5例が多重落雷と多地点落雷の両方の性質を含むものであった。ここから得られた注目すべき特徴は以下の通りである。
・リーダが枝分かれして進展し、その一方が大地に至った雷撃の数十ms後、先行するリーダのうち雷撃に至らなかった放電路をダートリーダが進展し、さらにその続きをステップトリーダが新たに進展して大地に至る多地点落雷が確認された。
・多地点落雷のあとの後続雷撃が一つ前の放電路を通らずもう一つ前の雷撃路を通る落雷があることが確認された。
・先行するステップトリーダと同じ放電路を通り同じ地点に落雷するが、一部新たな放電路を進展するダートリーダがあることが確認された。
・4地点に及ぶ雷撃が観測された。
・多重落雷か多地点落雷かは、雷撃時間差のみに因るものではない。