日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS14] 大気電気学

2016年5月23日(月) 15:30 〜 17:00 203 (2F)

コンビーナ:*三浦 和彦(東京理科大学理学部)、鴨川 仁(東京学芸大学教育学部物理学科)、座長:森本 健志(近畿大学理工学部)

16:30 〜 16:45

[MIS14-11] 二重偏波レーダネットワークにおける降雨減衰補正手法の開発

*嶋村 重治1牛尾 知雄1吉川 栄一2Chandrasekar V.3 (1.大阪大学大学院工学研究科電気電子情報工学専攻環境電磁工学領域、2.宇宙航空研究開発機構、3.コロラド州立大学)

キーワード:気象レーダ、雨

竜巻や突発的な集中豪雨等のシビア現象によってもたらされる自然災害の発生が近年増加傾向にあり,低層の降水情報に対する迅速かつ正確な把握の必要性から,X帯二重偏波レーダネットワークによる気象観測が近年主流となっている.X帯二重偏波レーダネットワークによる観測で得られるレーダ反射因子差ZDR,比偏波間位相差KDP,偏波間相関係数ρHV等の偏波パラメータにより,単一偏波観測では知り得なかった上空の降水粒子判別,雨滴粒径分布推定,降雨量推定が可能となっている.
偏波パラメータの一つであるKDPは前方散乱の偏波間位相差の積算量ΦDPを距離微分した値として算出されるが,実際に観測される位相差ΨDPは,観測レンジにおける後方散乱によって生じる位相差δcoを含んだ値となっており,強雨域でδcoが非ゼロの値を持つX帯において,KDPの算出にはδcoの除去が不可欠である.また,X帯では強雨域において激しい降雨減衰が発生する事が問題となっており,ZDRもその影響を受けて減衰する.現在KDPΦDPを用いた減衰補正が用いられているが,正確な降雨減衰補正のためには正確なδcoの除去が必要となる.
δcoZDRは強い相関を持つ事が知られており,単体レーダにおいてこの関係を用いてδcoを再帰的に除去するアルゴリズムは提案されているが,アルゴリズム内における関係式の係数値は固定されており,雨滴粒径分布によって変化する事が考慮されていない.本研究では,二重偏波レーダネットワークにおけるδcoの影響を考慮したZDRの減衰補正手法について検討した.