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[MIS14-P04] 能登半島で観測された落雷時の高エネルギー放射線
キーワード:高エネルギー放射線、冬季雷、雷雲
雷活動及び雷雲に伴う高エネルギー放射線(ガンマ線エネルギー領域の制動X線)が発生していることが近年わかってきた。落雷時に発生する数ミリ秒オーダーのショートバーストは、雷放電路の強電場での制動放射が原因と言われている。本研究では大気電場を多点で測定し、ショートバースト発生時の雷雲周辺の大気電気環境を推定した。2014年12月から2015年2月に能登半島先端部の石川県珠洲市金沢大学能登学舎にて大気電場と放射線の観測を行った。能登半島を含む日本海側の地域は世界的に珍しい冬季雷が観測される地域である。大気圧下で発生した高エネルギー放射線は伝搬時に急激に減衰するが、冬季雷雲は夏季雷雲と比較して雲底が低いため雷雲起源の高エネルギー放射線の観測が地上で行いやすいと考えられる。本観測では、4台の大気電場観測装置(フィールドミル)、放射線測定器(NaIおよびプラスチックシンチレーター)を設置した。フィールドミルは学舎の敷地内で20~40 mの間隔で4台設置した。すべての計測電場値は地表面値として校正されている。また雷雲接近時の雲底および雲頂高度を知るため、同建物屋上に設置されたシーロメータおよび気象庁合成レーダデータをそれぞれ使用した。地上気象データは学舎から西南西に6.1 kmに位置する気象庁AMeDAS珠洲観測所の降水量データを用いた。本観測期間では4つのロングバーストと1つのショートバーストを検知できた。2014年12月31日05:20:08に3ミリ秒で放射線カウントが増加するショートバーストが検知された。この時刻で大気電場は瞬間的に正から負に大きく変動を示したことから、正極性雷によって発生したものではないかと考えられる。本講演ではこのショートバーストと落雷の関係について詳細に述べる。