17:15 〜 18:30
[MIS15-P05] ドレーク・タスマニア海峡の閉鎖が南極域や底層水温に及ぼす影響
キーワード:海峡、新生代、古気候
新生代において地球は氷床の存在しない温暖な環境から氷床の存在する寒冷な環境へ変化してきた。新生代で特に大きな気候変化とされるE/O境界では、ドレーク海峡やタスマニア海峡が開き南極周極流が形成され南極が熱的に孤立したことが考えられており(Kennett, 1977)、それらの海峡を閉じた実験が複数の気候モデルで行われている(Sijp and England, 2004, 2011, Zhang et al., 2010)。さらに海峡だけでなく大陸配置を変えた研究も行われている(Sijp et al., 2014, Lunt et al., 2015)。またCO2濃度も新生代寒冷化の強いフォーシングと考えられている(Hansen et al., 2013)。長期の気候変化に対して、大陸配置やCO2濃度などのフォーシングがどの程度寄与したかについては十分に理解されていない。これらの先行研究では大陸配置やCO2濃度に加え南極氷床の有無の設定が異なり、海峡閉鎖前後の南極域の応答の大きさを左右していると考えられる。
本研究では、気候モデルMIROCを用いて、南極氷床を置いた場合と置かない場合についてCO2濃度を変化させ、ドレーク海峡とタスマニア海峡を陸橋で遮り平衡状態まで計算し、海洋循環の変化や南極域のSAT・SST応答について調べた。現在地形実験と比較してドレーク・タスマニア海峡を閉じた時には、南極周極流がなくなり南大洋で強い沈み込みが生じ、南向きの海洋熱輸送が増加して南極SAT・南大洋SSTが上昇した。底層水温は海峡閉鎖やCO2濃度の増加ではほとんど変化せず、南極氷床を置かない実験で大きく上昇する結果となった。本研究の結果からドレーク・タスマニア海峡を閉じた時の南極域や底層水温の応答はCO2濃度より南極氷床の有無により大きく影響されることが示された。
本研究では、気候モデルMIROCを用いて、南極氷床を置いた場合と置かない場合についてCO2濃度を変化させ、ドレーク海峡とタスマニア海峡を陸橋で遮り平衡状態まで計算し、海洋循環の変化や南極域のSAT・SST応答について調べた。現在地形実験と比較してドレーク・タスマニア海峡を閉じた時には、南極周極流がなくなり南大洋で強い沈み込みが生じ、南向きの海洋熱輸送が増加して南極SAT・南大洋SSTが上昇した。底層水温は海峡閉鎖やCO2濃度の増加ではほとんど変化せず、南極氷床を置かない実験で大きく上昇する結果となった。本研究の結果からドレーク・タスマニア海峡を閉じた時の南極域や底層水温の応答はCO2濃度より南極氷床の有無により大きく影響されることが示された。