日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS16] 地球掘削科学

2016年5月26日(木) 13:45 〜 15:15 103 (1F)

コンビーナ:*山田 泰広(海洋研究開発機構 海洋掘削科学研究開発センター)、池原 実(高知大学海洋コア総合研究センター)、菅沼 悠介(国立極地研究所)、新井 和乃(海洋研究開発機構)、梅津 慶太(国立研究開発法人海洋研究開発機構)、座長:森下 知晃(金沢大学理工研究域自然システム学系)、道林 克禎(静岡大学学術院理学領域)

13:45 〜 14:00

[MIS16-13] ロードハウライズ掘削計画の概要

Hackney Ron1山田 泰広2Grice Kliti3、*黒田 潤一郎2Whiteside Jessica4Coolen Marco3稲垣 史生2Arculus Richard5Müller Dietmar6斎藤 実篤2西 弘嗣7 (1.Geoscience Australia、2.国立研究開発法人海洋研究開発機構、3.Curtin University、4.University of Southampton、5.Australian National University、6.University of Sydney、7.東北大学)

キーワード:白亜紀気候、大陸地殻リボン、ロードハウライズ

ロードハウライズ(LHR)は,白亜紀にオーストラリアから分離した「リボン」と呼ばれるNW-SE方向に長く分布する大陸地殻の断片と考えられている.かつてゴンドワナ大陸の一部であったとされるが,現在は沈降してタスマン海の水深1000~3000mに位置するため,その姿は海底地形データやドレッジ試料,深海掘削によるコア試料(Deep Sea Drilling Project DSDP Leg 21, Sites 207 and 208)などの限られた情報から推察されているに過ぎない.
これまでに得られたデータでロードハウライズの地殻や堆積盆の構造および資源ポテンシャルについて大まかなことが分かっている.しかし,ロードハウライズの地質に関する詳細な知見を得るために,また南西太平洋の広域的な地史を理解するために,ロードハウライズの深部掘削が不可欠である.得られた地質試料には,この地域での1億年以上に渡る気候や地殻変動に関する記録が保存されていると期待できる.これを実現するために,Geoscience Australiaと国立研究開発法人海洋研究開発機構JAMSTECが主体となって国際研究チームを立ち上げ,ロードハウライズで海底下3500mの深部掘削を行って中・新生代の堆積物と基盤岩を回収する計画を立案した.
JAMSTECの地球深部探査船「ちきゅう」によりロードハウライズを掘削するプロポーザル(871-CPP)は2015年10月に国際深海科学掘削計画IODPに提出された.この掘削計画の研究目的は,1)ロードハウライズに代表される大陸地殻リボンが,大陸の進化やテクトニックサイクルの中で果たす役割とその重要性を理解する,2)南西大西洋で南半球高緯度の新たな古気候・古環境データを得ることで,白亜紀の気候やそれに関連した海洋の生物地球化学的変化をより正確に復元する,3)1億年間以上の時間スケールでの地下圏生命圏の進化に関する仮説を検証する,の3点である.今回の発表では,この掘削計画の紹介を行う.