[M-IS16] 地球掘削科学

[MIS16-18] プレート沈み込み直前屈曲断層掘削計画の概要と展望，そしてマントル掘削へ

*森下 知晃¹ (1.金沢大学理工研究域自然システム学系)

キーワード：プレート屈曲正断層、沈み込み帯

海洋プレートは中央海嶺近傍での火成活動によって形成されたのち，中央海嶺近傍での熱水活動によって加水することが知られている．近年，プレート沈み込み直前の屈曲による正断層形成に伴う加水が注目されている（Ranero et al., 2003 Nature）．地球物理学観測から，この屈曲断層に伴う加水によりマントル深度で大規模に蛇紋岩化が起きている可能性が指摘されている（例えば，Fujie et al., 2013 Geophys. Res. Lett.）．しかしながら，物質科学的には何も検証されていない．そこで，国際深海科学掘削（IODP）に中米，および北西太平洋域におけるプレートの沈み込み屈曲断層を掘削する予備申請案が提案さた（Morgan et al., 2014, Pre-876: Bend-Fault Serpentinization (BFS): Oceanic Crust and Mantle Evolution from Ridge through Trench; Morishita et al., 2015 Pre-886: Bend-Fault Hydrology in the Old Incoming Plate）．これらの予備申請案は科学パネルによって評価され，本申請を提案することを推奨された．そこで，６月19-21日の予定でロンドンで国際ワークショップが開催され，本申請書作成に向けた活動が始まる．本発表では，特に北西太平洋域における掘削計画の内容と，プレートの形成から沈み込みまでを総合的に理解するためのマントル掘削を含めた将来計画について紹介する．