日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS16] 地球掘削科学

2016年5月26日(木) 15:30 〜 16:45 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*山田 泰広(海洋研究開発機構 海洋掘削科学研究開発センター)、池原 実(高知大学海洋コア総合研究センター)、菅沼 悠介(国立極地研究所)、新井 和乃(海洋研究開発機構)、梅津 慶太(国立研究開発法人海洋研究開発機構)

15:30 〜 16:45

[MIS16-P05] Exp.346 U1430地点における中期中新世サイクル層序の確立とXRFスキャナーを用いた古海洋変動復元

*黒川 駿介1多田 隆治1Lofi Johanna2入野 智久3池田 昌之4Giosan Liviu5関 有沙1村山 雅史6松崎 琢也6板木 拓也7上栗 伸一8 (1.東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻、2.モンペリエ大学、3.北海道大学大学院地球環境科学研究院、4.静岡大学、5.ウッズホール海洋研究所、6.高知大学海洋コア総合研究センター、7.産業技術総合研究所、8.茨城大学教育学部)

キーワード:中期中新世、サイクル層序、XRFコアスキャナー、IODP Exp.346

中期中新世は東南極氷床が拡大した時期にあたり、氷床量変動が当時の気候に影響を及ぼしていた事が示唆されている[Zachos et al., 2001, Holbourn et al., 2005]。近年、海洋堆積物コアから得られた酸素同位体比やXRFコアスキャナーデータにサイクル層序を適用した数万年の解像度での中期中新世古気候・古海洋変動復元が行われており、地球軌道要素変化と古気候・古海洋変動との対応関係が明らかにされつつある[e.g; Holbourn et al., 2013, Westerhold et al., 2005]。一方で、北太平洋域においては、遠洋堆積物中に石灰質微化石をほとんど産しないため、サイクル層序を適用した高時間解像度の年代モデルすら確立していない。
中期中新世の日本海は半閉鎖的な環境であったとされ[Iijima et al., 1988]、海水準変動及び酸素極小帯位置の変化が日本海内の水塊構造に影響を与え、その結果生じた変動が日本海深海堆積物コアに見られる岩相変化を生み出したとされる[Tada, 1994]。従って、東南極氷床の拡大・縮小に伴う海水準変動や太平洋域での海洋循環パターンの変化を復元する上で、日本海深海堆積物コアを使った詳細な年代モデルの確立及び岩相変化パターンの復元は重要である。
そこで筆者らは、2013年夏に行われた統合国際深海掘削計画(IODP)第346次航海で得られたU1430地点の日本海深海堆積物コアを用いて、中期中新世の高時間解像度サイクル層序確立を試みた。まず、船上データやコア写真を用いて、完全連続な堆積記録の復元を行ない、それを基に船上で計測されたGRA,NGR等の連続データを編集した。そして放散虫及び珪藻による微化石層序を基にした仮の年代モデルを作成し、それに基づいて時系列化したGRA, NGRの連続データから40万年、10万年、4万年周期を抽出し、これらと地球軌道要素の離心率、地軸傾度の時系列変化を対比して、サイクル層序に基づく高解像度年代モデルを確立した。こうして確立した高解像度年代モデルを使って、XRFスキャナーによる元素組成データを時系列化し、中期中新世日本海における古海洋変動復元を試みた。
今回の発表では、サイクル層序の確立及びXRFスキャナーに基づく日本海堆積物の元素組成変動とその要因について議論する。