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[MIS16-P07] IODP第317次航海ニュージーランド沖掘削のコア解析に基づくシーケンス境界の形成年代とその震探断面再解釈に基づく陸棚-斜面の対比
キーワード:IODP第317次航海、地震探査断面、更新世、海水準変動、ニュージーランド
カンタベリー堆積盆地は,ニュージーランド南島東縁位置し,現在のカンタベリー平野とその沖の陸棚に広がっている.本地域では,商用もしくは科学目的で地震探査や掘削が実施されており,それらの結果を用いてLu and Fulthorpe(2004)はこの地域に中新世から完新世にかけて19のシーケンス境界があることを明らかにし,その年代を定めた.2009年から2010年にかけて行われたIODP 317次航海は,陸棚3サイト(U1351,U1353, U1354),上部陸棚斜面1サイト(U1352)を掘削した.Hoyanagi et al.(2014)は底棲有孔虫化石の酸素同位体比と海洋酸素同位体ステージを示すLR04 stack(Lisiecki and Raymo, 2005)との対比から,更新世以降の年代モデルを示した.しかし,この年代モデルにしたがった陸棚斜面のシーケンス境界の年代とLu and Fulthorpe(2004)の示した年代に矛盾が生じている.そこで,本研究では震探断面中のシーケンス境界反射面を再解釈して,IODP第317次航海のコアに認められた不連続面と対比した.その結果,震探断面中に認められた7つのシーケンス境界反射面と深度が一致する不連続面を上位からシーケンス境界SB1からSB7とした.修正されたU1352の年代モデルに基づくと,シーケンス境界SB1から6はそれぞれMIS6, 8, 16, 18, 22, 54の低海水準期に形成されたものである.一方,最下位のSB7は4サイトで認められた1.8から2.7Maのハイエイタスを示す不連続面と一致する.さらに,震探断面上で認められたシーケンス境界SB3が下位にある2つのシーケンス境界を陸棚上で削っていることから,MIS16に対応するSB3の形成時期は他の氷期よりも海水準低下が大きかったと考えられる.