17:15 〜 18:30
[MIS17-P13] 新潟県の石筍を用いた完新世の流体包有物中の酸素・水素同位体分析
キーワード:鍾乳石、石筍、流体包有物、安定同位体
東アジアの気候は、東アジア冬季モンスーン(EAWM)に大きく影響される。最近、新潟県の完新世における炭酸カルシウムの酸素安定同位体比変動が福来口鍾乳洞石筍から明らかになった(Sone et al., 2013)。本研究では、流体包有物中の水の酸素と水素同位体比を測定し、過去の降水同位体比変動の復元を行った。試料は新潟県福来口鍾乳洞の石筍(FG01)を用いた。石筍の流体包有物中の水の同位体比は、流体包有物抽出装置(Uemura et al., 2016)を改良した手法を用いた。FG01の含水率は低く(平均0.006 wt.%)、一般的な石筍の含水率の10分の1以下であった。含水率が0.005 wt.%以上の、4,000–8,000年前の8試料について解析を行った。炭酸カルシウムと滴下水のδ18Oの間には、正の相関があった。これは、炭酸カルシウムのδ18O変動が滴下水のδ18O変動を反映しているという従来の解釈が正しいことを示唆している。