日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS18] 海底マンガン鉱床の生成・環境・起源

2016年5月24日(火) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*臼井 朗(高知大学自然科学系理学部門)、高橋 嘉夫(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、鈴木 勝彦(国立研究開発法人海洋研究開発機構・海底資源研究開発センター)

17:15 〜 18:30

[MIS18-P02] 北西太平洋から得られた鉄マンガンクラストの超微細磁気層序から推定した成長速度

*野口 敦史1山本 裕二2小田 啓邦3佐藤 雅彦3臼井 朗4河合 淳5 (1.高知大学大学院総合人間自然科学研究科、2.高知大学 海洋コア総合研究センター、3.産業技術総合研究所地質情報研究部門、4.高知大学自然科学系理学部門、5.金沢工業大学先端電子技術応用研究所)

キーワード:SQUID顕微鏡、鉄マンガンクラスト、成長速度、残留磁化

鉄マンガンクラストには数千万年にわたる海洋環境の記録が残されており、正確な形成年代を決定することで過去の地球環境変動の復元が可能になるのではないかと期待されている。近年注目されている年代決定の手法として、古地磁気学的手法を用いたものがあり、いくつかの先行研究がなされている。そのなかでも最も新しい研究であるOda et al. (2011)では超伝導量子干渉素子(SQUID)を利用した走査型SQUID顕微鏡(Scanning SQUID Microscope : SSM )を用い、85 µmという高分解能での磁気測定の結果を得て、その結果を古地磁気極性年代表とうまく対比することに成功した。対応に基づき推定された成長速度は5.1±0.2 mm/Maであり、これは10Be/9Be法で推定された6.0±0.2 ㎜/Maと整合的であった。
本研究では、南鳥島南西方約15 Kmに位置する拓洋第5海山(22°41.04’N, 153°14.63’E, 2239 m )より採取された鉄マンガンクラストを対象とし、SSMを用いた磁気測定による形成年代および、成長速度の推定を目的とした。
具体的な方法については、採取された試料から成長方向に垂直に切り出し作成した一辺19 mm、厚さ30-50 µmの薄片を測定試料とし、自然残留磁化の段階交流消磁(0-80 mT)および、SSMによる磁気測定を行った。測定された磁気データには外部磁場などのノイズが含まれていたため、補正を行い試料の磁気データのみを取り出した。補正後の磁気データからイメージ図を作成し、薄片試料写真と重ねることで磁気イメージ図の最表層部分を決定した。結果として試料の最表層(0mm)から最下層(19mm)では9回の地磁気逆転が確認できた。地磁気逆転がみられる深度と古地磁気極性年代表を対比し年代および、成長速度を推定した。推定した成長速度は 3.1±0.1 mm/Maとなり、これは10Be/9Be法で推定された成長速度3.5±0.3 mm/Maと比べ整合的な値となった。