日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS19] 南北両極のサイエンスと大型研究

2016年5月24日(火) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*中村 卓司(国立極地研究所)、杉本 敦子(北海道大学大学院 地球環境科学研究院)、杉山 慎(北海道大学低温科学研究所)

17:15 〜 18:30

[MIS19-P05] 第3回北極科学計画会議(ICARPIII)の最終報告書の紹介

*兒玉 裕二1杉本 敦子2青木 輝夫3 (1.国立極地研究所、2.北海道大学、3.気象研究所)

キーワード:国際北極科学計画会議、北極、優先研究

第3回北極科学計画会議(ICARP III; Third International Conference on Arctic Research Planning)の最終報告書が、北極科学委員会(International Arctic Science Committee (IASC)から公開された。ICARPIIIは2015年4月23日から30日にかけて富山市で行われた北極科学サミット週間(Arctic Science Summit Week (ASSW) 2015)の中で開催されたものである。ASSW2015では議論の中間とりまとめとして、富山会議声明(Toyama Conference Statement)が発表されていたが、最終報告書はこの声明を基礎として作成され、資料として添付されている。また、北極研究コンソーシアム (Japan Consortium for Arctic Research (JCAR) )が作成した「北極環境研究の長期構想」も取り上げられている。 この報告書には、これからの10年間の北極研究において優先すべき項目として、1)全球気候システムにおける北極の役割、2)観測や気候変動の将来予測やそれに対する生態系の応答、3)北極環境や社会の脆弱性や回復力の理解と持続可能な開発のための支援、の3つがとりあげられている。また、共通して取り組む課題として、コミュニケーション、伝統知(traditional knowledge)や地域的な知識(local knowledge)、人材育成について言及されており、結びの言葉として、学問分野を超えて超学際的に知識に基づくステークホルダーとの対話をもたらす新しいアプローチ、北極域と全球の持続可能性への取り組みを伝えていくCo-designそして問題解決に向けたサイエンス、急激に変化している北極域の包括的・高品質な観測が必要であることが強調されている。ICARP は10年ごとに開催されてきたが、第1回目はそれぞれの分野で必要なプロジェクトがまとめられ、第2回目は全体として取り組む必要性が強調された。今回のICARP IIIは、政策決定者やエンドユーザーに届けられる必要性が明確に出されている。