日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS26] 火山噴煙・積乱雲のモデリングとリモートセンシング

2016年5月26日(木) 09:00 〜 10:30 コンベンションホールB (2F)

コンビーナ:*鈴木 雄治郎(東京大学地震研究所)、前野 深(東京大学地震研究所)、佐藤 英一(気象研究所)、前坂 剛(防災科学技術研究所)、座長:佐藤 英一(気象研究所)、前野 深(東京大学地震研究所)

09:30 〜 09:45

[MIS26-03] 衛星赤外サウンダデータの解析による火山灰物質情報

*石元 裕史1 (1.気象研究所)

キーワード:火山灰、衛星赤外サウンダ、複素屈折率

衛星赤外サウンダが計測した赤外窓領域における火山灰の輝度温度スペクトルを大気プロファイルや海面温度・射出率、大気のガス吸収、火山灰の光学的特性を考慮することで詳細に調べた。また最小二乗法を用いた繰り返し計算によって、火山灰の光学的厚さや有効半径・火山灰高度といった主要な火山灰パラメータと同時に火山灰物質の光学定数(複素屈折率)スペクトルを推定した。波長10ミクロン帯における複素屈折率の吸収特性スペクトルは火山より噴出したシリケイト物質のSi-O結合の特徴を反映しており、鉱物の種類やSiO2含有量と密接に関係している。いくつかの火山灰データについてリトリーバル計算を行った結果、求めた光学定数スペクトルから推定される鉱物種と、火山堆積物の組成分析によって求められていた鉱物種とがよく整合する結果が得られた。また衛星赤外サウンダデータを用いた火山灰解析は、室内でのFTIR計測実験で報告されている比較的弱い吸収帯の存在を検出することができることもわかった。
衛星赤外サウンダの解析によって求めた光学定数スペクトルは、衛星イメージャなど他の衛星による火山灰観測に利用することができる。赤外領域での詳細な光学定数データは特に次世代静止気象衛星ひまわり8号による火山灰量の推定や火山灰監視に役立つと考えられる。また過去データの解析結果との比較などから火山灰物質の変化についての情報を得ることが期待できる。