日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS33] 地球惑星科学と微生物生態学の接点

2016年5月23日(月) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*砂村 倫成(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、高井 研(海洋研究開発機構極限環境生物圏研究センター)、濱村 奈津子(九州大学)、諸野 祐樹(海洋研究開発機構高知コア研究所)

17:15 〜 18:30

[MIS33-P01] 猪苗代湖湖底のハイパーピクナル流堆積物

*井内 美郎1鈴木 勇志1 (1.早稲田大学人間科学学術院)

キーワード:猪苗代湖、ハイパーピクナル、イベント層、湖底堆積物

猪苗代湖中央部、水深90mの水域で採取された長さ約27mのボーリング試料に挟在する約30の厚さ数センチメートルの明暗層の成因について検討した。猪苗代湖は福島県中央に位置し、湖面積103.24km2、最大水深94.6m、平均水深51.5mの酸栄養湖である。今回採取された試料の主要部は、厚さ数ミリメートルの明暗互層でバーコード状を示している。数層準のテフラ層を挟むほか、数センチメートルの厚さを持ち、下部が白色層からなり上部が暗茶褐色を示す層からなる特徴的な層準が約30確認された。この層準について、5ミリメートル間隔で粒度分析を行ったほか、構成粒子について顕微鏡観察を行った。その結果、この層準は下位で逆級化を示し、上位で正級化を示す共通の現象が確認されたほか、構成粒子では鉱物粒子を主体とするものの植物片や珪藻化石を含んでいることが明らかとなった。珪藻化石については、さらに詳細な検討が必要ではあるが、付着性種および好酸性種を多く含んでいるという特徴がみられた。また、上位の暗茶褐色層が下位の白色層と斜交し、下位層を侵食していると考えられる層準も確認された。なお、通常のバーコード状堆積物に含まれる珪藻化石は、浮遊性種が圧倒的主体を占めていた。以上の特徴は、劇的洪水に起因するハイパーピクナル流堆積物にみられるものであり、猪苗代湖のイベント堆積物はハイパーピクナル流堆積物であるという結論を強く示唆するものである。