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[MIS34-P29] GEONETによって検出された平成28年熊本地震による地殻変動
キーワード:平成28年熊本地震、GEONET、地殻変動、キネマティックGNSS解析
平成28年(2016年)4月16日1時25分に熊本県でM7.3の地震が発生した。さらにこの地震に先だって4月14日21時26分にM6.5の地震が、4月15日0時3分にM6.4の地震がそれぞれ発生しており、これら一連の地震は、熊本県を中心とした地域に甚大な被害をもたらした。国土地理院では、日本全国に約20km間隔、約1300点からなるGNSS連続観測網(GEONET)による地殻変動の観測を行っている。今回、GEONET観測データを用いて、これらの地震に伴う地殻変動とその余効変動の検出を行ったのでその暫定的な結果を報告する。
国土地理院では、GEONET観測データはセッション長を固定して一定時間毎にルーチン的に実行されるGEONET定常解析(F3解析(24時間解析)、R3解析(24時間解析)、Q3解析(6時間解析))によって解析されている。しかし、今回発生した二つの前震は発生間隔が3時間未満と短く、定常解析ではそれぞれの地震による変動を個別に検出することが不可能であった。そのため、任意のセッション長を設定し手動で解析を行う緊急解析(S3解析)及びGEONETリアルタイム解析(REGARD)による結果も用いて、二つの前震及び本震による地震時の変動を推定した。
これらの解析の結果、4月14日の地震(M6.5)、4月15日の地震(M6.4)、4月16日の地震(M7.3)それぞれに伴い地殻変動が検出された。二つの前震に伴い、日奈久断層帯周辺の電子基準点「城南(1071)」で北東方向に20cmの変動、上下方向に約3cmの沈降が見られた。一方、本震に伴っては九州地方全体の広い範囲で地殻変動が観測され、特に布田川帯断層周辺の電子基準点「熊本(0465)」では北東方向に75cm、上下方向に20cmの沈降が、電子基準点「長陽(0701)」では南西方向に97cmの変動、28cmの隆起が見られた(図)。また、本震発生後約3週間が経過した5月4日現在で、本震の地震時の変動とおおよそ似た傾向の余効変動が観測され、電子基準点「長陽(0701)」では南西方向に約3cmの変動が観測されている。
地震調査委員会では、前震では日奈久断層帯が、本震では布田川断層帯が破壊されたことを報告しており、これは今回GEONETにより観測された結果と整合的である。また、本震の震源は布田川断層帯と日奈久断層帯との境界付近であったことから、断層は東向きに破壊されたと考えられる。さらに、本震では前震よりも上下方向の変動が大きいことから、断層面が前震よりもやや低角に傾斜していることも示唆される。今後は、詳しい断層モデルの推定を行うとともに、余震による地殻変動及び余効変動の監視を続けていく予定である。
国土地理院では、GEONET観測データはセッション長を固定して一定時間毎にルーチン的に実行されるGEONET定常解析(F3解析(24時間解析)、R3解析(24時間解析)、Q3解析(6時間解析))によって解析されている。しかし、今回発生した二つの前震は発生間隔が3時間未満と短く、定常解析ではそれぞれの地震による変動を個別に検出することが不可能であった。そのため、任意のセッション長を設定し手動で解析を行う緊急解析(S3解析)及びGEONETリアルタイム解析(REGARD)による結果も用いて、二つの前震及び本震による地震時の変動を推定した。
これらの解析の結果、4月14日の地震(M6.5)、4月15日の地震(M6.4)、4月16日の地震(M7.3)それぞれに伴い地殻変動が検出された。二つの前震に伴い、日奈久断層帯周辺の電子基準点「城南(1071)」で北東方向に20cmの変動、上下方向に約3cmの沈降が見られた。一方、本震に伴っては九州地方全体の広い範囲で地殻変動が観測され、特に布田川帯断層周辺の電子基準点「熊本(0465)」では北東方向に75cm、上下方向に20cmの沈降が、電子基準点「長陽(0701)」では南西方向に97cmの変動、28cmの隆起が見られた(図)。また、本震発生後約3週間が経過した5月4日現在で、本震の地震時の変動とおおよそ似た傾向の余効変動が観測され、電子基準点「長陽(0701)」では南西方向に約3cmの変動が観測されている。
地震調査委員会では、前震では日奈久断層帯が、本震では布田川断層帯が破壊されたことを報告しており、これは今回GEONETにより観測された結果と整合的である。また、本震の震源は布田川断層帯と日奈久断層帯との境界付近であったことから、断層は東向きに破壊されたと考えられる。さらに、本震では前震よりも上下方向の変動が大きいことから、断層面が前震よりもやや低角に傾斜していることも示唆される。今後は、詳しい断層モデルの推定を行うとともに、余震による地殻変動及び余効変動の監視を続けていく予定である。