日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS34] 2016年熊本地震および関連する地殻活動

2016年5月25日(水) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

17:15 〜 18:30

[MIS34-P37] 熊本地震に伴う広域地表変位分布のSAR差分干渉解析

*大沼 巧1 (1.株式会社地球科学総合研究所)

キーワード:衛星SAR差分干渉、Sentinel-1 C-SARデータ、広域地表変位分布パターン

衛星SARデータの差分干渉解析により,平成28年熊本地震によって生じた地表変位の広域分布パターンを調査した。解析には,欧州宇宙機関(ESA)のSentinel-1 C-SARのデータを主に用いた。Sentinek-1 C-SARは,波長約6cmのCバンドのSARセンサであり,Interferometric Wide Swathモードと呼ばれる広域観測モードが標準観測モードとなっており,グラウンドレンジ方向5m/画素,アジマス方向20m/画素の空間分解能を有し,250km x 250kmの広域を1シーンでカバーする。日本周辺については,現在までに2回帰(24日)毎に観測が行われており,緊急観測として1回帰でもデータが観測されることがある。従って平成28年熊本地震の様に,熊本県から大分県に亘る広域に及ぶ影響のモニタリングに,最適なデータの一つである。
本調査では,前震・本震前の4/8と本震後の4/20に昇交(北行)軌道で観測されたペアと,同じく地震前の3/27と地震後の4/20に降交(南行)軌道で観測されたペアの4シーンを主に用いた。各々のペアの差分干渉処理とこれらの組み合わせによる2.5次元解析を実施したのでその結果を報告する。またこれらの他にALOS-2 PALSAR-2データを用いた差分干渉処理としてMulti Aperture Interferometryと呼ばれる処理も行い,Sentinel-1の2.5次元解析による東西方向と上下方向の変位成分に加えて,布田川断層から阿蘇カルデラにかけての地域について衛星飛翔方向の変位分布も解析した。