日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS34] 2016年熊本地震および関連する地殻活動

2016年5月25日(水) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

17:15 〜 18:30

[MIS34-P94] How quickly can topographic data are acquired after earthquake? A case study for the landslide in Minami-Aso, Kumamoto, Japa

*早川 裕弌1 (1.東京大学空間情報科学研究センター)

キーワード:structure-from-motion multi-view stereo photogrammetry, point cloud, digital elevation model, data sharing, landslides, topographic mapping

大規模な地震により,建物や道路,地形などが大きく変化した領域において,迅速な地形計測は変化箇所の識別のために重要である。地上や空中から撮影された写真や動画は多くの情報を有するが,それら複数の写真や動画をソースとしたSfM多視点ステレオ写真測量により3次元地形データを得ることで,より詳細な情報を得ることができる。ここでは,熊本地震を誘因として南阿蘇で発生した斜面崩壊の迅速な3Dマッピングの事例を示す。有人または無人航空機で撮影された斜め空中写真およびビデオ動画をデータソースとして,これらがオンラインで利用可能になった直後,現場を訪問することなく遠隔地でデータ処理を行い,数十分以内に数メートル程度の精度で地形データを得ることができた。図には国土地理院によって提供された斜め航空写真から生成された地形情報の例を示す。データ処理時には,地上基準点(GCP)の設置に手動での画像からの読み取りが必要とされ,時間を要した。取得データ(地形,陰影起伏およびオルソ画像)は速やかにJPGやアニメーションGIFファイルとしてSNS上で共有され,また,点群・デジタル標高モデル・オルソ画像を含むデータ自体も,オンラインデータ提供システムにより共有した(Hayakawa, 2016)。さらにデータの可視性を高めるため,3次元モデル(点群またはTIN)もオンラインで共有した。これらのデータは,現場での使用には限界があるが,特に遠隔地の人々(例えば学生や海外の研究者)にとって,斜面崩壊の状況を理解するのに少なからず役立ったと考えられる。一方,迅速かつ正確な3Dマッピングの有用性を高めるため,このようなデータ処理の速度をさらに向上させるべきであり,またこれらが現場における救助等の目的に使用される場合,デジタルのものだけでなく,印刷された紙地図でも出力されるべきであろう。
Hayakawa, Yuichi (2016),“Topographic data generated from oblique aerial photos in Minami-Aso, Kumamoto, Japan just after the April 2016 earthquake”, Mendeley Data, v1. doi:10.17632/sbxkzhy7h6.1