日本地球惑星科学連合2016年大会

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ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS34] 2016年熊本地震および関連する地殻活動

2016年5月25日(水) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

17:15 〜 18:30

[MIS34-P96] 平成28年(2016年)熊本地震で発生した阿蘇火山中央火口丘群の地形変化:空中写真および3Dモデルを用いた解析

*佐々木 寿1平川 泰之1山口 和也1荒井 健一1藤田 浩司1成毛 志乃1千葉 達朗1船越 和也1 (1.アジア航測株式会社)

キーワード:平成28年(2016年)熊本地震、阿蘇火山、空中写真、3Dモデル

平成28年(2016年)熊本地震では 阿蘇火山中央火口丘群周辺にも多数の地形変化が確認されている.アジア航測は阿蘇火山中央火口丘群付近を対象に,噴煙の影響を避けるために高高度から垂直空中写真の自主撮影を行った.撮影は2016年4月29日に実施した.使用したカメラはDMCⅡe230で,4コース88枚の画像(地上画素寸法は20cm)を撮影した.撮影した空中写真から簡易オルソ画像および簡易3Dモデルを作成し,概略判読を行った.
カルデラ壁などと同様に,阿蘇火山中央火口丘群周辺付近でも崩壊地や地すべり,および斜面上の亀裂が非常に多く発生していることが分かった.烏帽子岳周辺と楢尾岳北斜面では非常に広範囲に及ぶ土砂移動が発生している.草千里ヶ浜・往生岳・杵島岳・中岳・高岳のそれぞれの周辺斜面でも土砂移動が多発している.杵島岳では山頂付近で発生した崩壊した土砂が斜面を流れ下り,粉体流として挙動したような箇所も見られる.一方,根子岳周辺には地震前から崩壊地が分布しているが,空中写真で見る限り,大きく変化していないようである.また,上記以外の範囲にも斜面上には非常に多くの亀裂が認められた.亀裂は土砂移動域の周辺だけでなく,それ以外の斜面にも分布している.
中岳火口は噴気の影響があるため,一部しか判読できなかったが,第1火口の北西側で幅100m程度にわたって崩壊していることが確認できた.火口底の様子は不明であるが,崩壊した土砂が火口底まで到達している可能性がある.上記以外の火口壁でも崩落している箇所が多数存在する.