17:15 〜 18:30
[MIS34-P26] 2016年熊本―九州中部地震活動領域の電気比抵抗構造
キーワード:比抵抗、MTデータ、2016年熊本地震
2016年4月14日以降、5月10日現在まで続いている熊本―九州中部地震の震源域周辺では、これまで異なる研究者グループによって、異なる目的のため地下の電気比抵抗構造を推定するため広帯域MT探査が行われてきた。主なものとして日奈久断層、布田川断層と定常地震活動との関連に注目した探査 (麻植 他, 2004; 麻植 他, 2007)、阿蘇カルデラのマグマ供給系や熱水系に注目した探査 (高倉 他, 2000; Asaue et al., 2006; 畑 他, 2016) 、熊本市の地下水の起源に注目した探査 (Asaue et al., 2012)、九重山のマグマ供給系や熱水系に注目した探査 (塩谷 他, 2015)、大分県中南部の非火山地域の調査 (相澤 他, 2015)、別府-万年山断層に注目した探査 (相澤 他, 2016) が挙げられれる。本発表ではこれら広帯域MT データをコンパイルして得られた結果と地震活動との関連を示す。地下の電気比抵抗構造の大局的な構造を把握するため、平均化したインピーダンス (Rung-Arunwan et al., 2016) による見掛け比抵抗を周波数ごとに示すと0.1秒より長周期側で阿蘇山、九重山、鶴見岳といった活火山周辺は電気を流し易い低比抵抗となっている。震源域の深さ(5~15km) におおよそ対応する、周期10秒、周期100秒の見掛け比抵抗図に、一連の地震活動 (2016年4月14日21時26分~4月24日12時40分) の震源を重ねると、今回の地震活動は阿蘇、九重、鶴見岳周辺の低比抵抗領域を避けて、その周辺で発生していることが明らかとなった。これは火山地下がマグマにより高温となり地震を起こしにくくなっていることを反映していると考えられる。最も地震活動が活発な熊本市付近では地震活動は低比抵抗-高比抵抗の境界、高比抵抗領域で発生しているように見え、断層が電気比抵抗の構造境界となっていることを示唆している。
詳細図については
http://www.sevo.kyushu-u.ac.jp/kumamoto2016/MT2016KumamotoOita.pdf
謝辞
本研究の遂行にあたり、以下の補助を受けました。
「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画:課題番号2201」
「別府-万年山断層帯(大分平野-由布院断層帯東部)における重点的な調査観測」
「科学研究費補助金「2016年熊本地震と関連する活動に関する総合調査」(代表:清水 洋)」
参考文献
Asaue, H., Koike, K., Yoshinaga, T., and Takakura, S., 2006, Magnetotelluric resistivity modeling for 3D characterization of geothermal reservoirs in the Western side of Mt. Aso, SW Japan: Journal of Applied Geophysics, v. 58, p. 296-312.
Asaue, H., Kubo, T., Yoshinaga, T., and Koike, K., 2012, Application of Magnetotelluric (MT) Resistivity to Imaging of Regional Three-Dimensional Geologic Structures and Groundwater Systems: Natural Resources Research, v. 21, p. 383-393.
Rung-Arunwan, T., Siripunvaraporn, W., and Utada, H., 2016, On the Berdichevsky average: Physics of the Earth and Planetary Interiors, v. 253, p. 1-4.
相澤広記, 小山崇夫, 志藤あずさ, 若林翌馬, 宮崎真大, 内田和也, 塚島祐子, 塚本果織, 高島奏, 近藤健太郎, 河本洋輝, 藤田詩織, 山本有人, 緒方美季, 上嶋誠, 2016, 別府―万年山断層帯の比抵抗構造: 日本地球惑星科学連合2016年大会, 千葉幕張.
相澤広記, 上嶋誠, 高村直也, 宇津木充, 井上寛之, 塩谷太郎, 内田和也, 塚島祐子, 若林翌馬, 藤田詩織, 松島健, 小山崇夫, 神田径, 吉村令慧, 山崎健一, 小松信太郎, 志藤あずさ, 2015, 地電位差計を用いた大分県中南部の広帯域MT観測: 日本地球惑星科学連合2015年大会, 千葉幕張.
麻植久史, 小池克明, 吉永徹, 高倉伸一, 2007, 布田川-日奈久断層帯の深部比抵抗構造のイメージングと微小地震分布からの考察: 応用地質, v. 48, p. 180-191.
麻植久史, 小池克明, 高倉伸一, 大見美智人, 2004, MT法による活断層深部の破砕構造解析: 応用地質, v. 45, p. 60-70.
塩谷太郎, 宇津木充, 相澤広記, 上嶋誠, 小山崇夫, 神田径, 2015, 広帯域MT探査による九重連山周辺の比抵抗構造推定: 日本地球惑星科学連合2015年大会, 千葉幕張.
高倉伸一, 橋本武志, 小池克明, 小川康雄, 2000, MT 法による阿蘇カルデラの比抵抗断面: Conductivity anomaly 研究会論文集, p. 23-30.
畑真紀, 高倉 伸一, 松島喜雄, 橋本武志, 2016, 阿蘇カルデラ直下の地殻構造の3次元電気比抵抗イメージング: 日本地球惑星科学連合2016年大会, 千葉幕張.
詳細図については
http://www.sevo.kyushu-u.ac.jp/kumamoto2016/MT2016KumamotoOita.pdf
謝辞
本研究の遂行にあたり、以下の補助を受けました。
「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画:課題番号2201」
「別府-万年山断層帯(大分平野-由布院断層帯東部)における重点的な調査観測」
「科学研究費補助金「2016年熊本地震と関連する活動に関する総合調査」(代表:清水 洋)」
参考文献
Asaue, H., Koike, K., Yoshinaga, T., and Takakura, S., 2006, Magnetotelluric resistivity modeling for 3D characterization of geothermal reservoirs in the Western side of Mt. Aso, SW Japan: Journal of Applied Geophysics, v. 58, p. 296-312.
Asaue, H., Kubo, T., Yoshinaga, T., and Koike, K., 2012, Application of Magnetotelluric (MT) Resistivity to Imaging of Regional Three-Dimensional Geologic Structures and Groundwater Systems: Natural Resources Research, v. 21, p. 383-393.
Rung-Arunwan, T., Siripunvaraporn, W., and Utada, H., 2016, On the Berdichevsky average: Physics of the Earth and Planetary Interiors, v. 253, p. 1-4.
相澤広記, 小山崇夫, 志藤あずさ, 若林翌馬, 宮崎真大, 内田和也, 塚島祐子, 塚本果織, 高島奏, 近藤健太郎, 河本洋輝, 藤田詩織, 山本有人, 緒方美季, 上嶋誠, 2016, 別府―万年山断層帯の比抵抗構造: 日本地球惑星科学連合2016年大会, 千葉幕張.
相澤広記, 上嶋誠, 高村直也, 宇津木充, 井上寛之, 塩谷太郎, 内田和也, 塚島祐子, 若林翌馬, 藤田詩織, 松島健, 小山崇夫, 神田径, 吉村令慧, 山崎健一, 小松信太郎, 志藤あずさ, 2015, 地電位差計を用いた大分県中南部の広帯域MT観測: 日本地球惑星科学連合2015年大会, 千葉幕張.
麻植久史, 小池克明, 吉永徹, 高倉伸一, 2007, 布田川-日奈久断層帯の深部比抵抗構造のイメージングと微小地震分布からの考察: 応用地質, v. 48, p. 180-191.
麻植久史, 小池克明, 高倉伸一, 大見美智人, 2004, MT法による活断層深部の破砕構造解析: 応用地質, v. 45, p. 60-70.
塩谷太郎, 宇津木充, 相澤広記, 上嶋誠, 小山崇夫, 神田径, 2015, 広帯域MT探査による九重連山周辺の比抵抗構造推定: 日本地球惑星科学連合2015年大会, 千葉幕張.
高倉伸一, 橋本武志, 小池克明, 小川康雄, 2000, MT 法による阿蘇カルデラの比抵抗断面: Conductivity anomaly 研究会論文集, p. 23-30.
畑真紀, 高倉 伸一, 松島喜雄, 橋本武志, 2016, 阿蘇カルデラ直下の地殻構造の3次元電気比抵抗イメージング: 日本地球惑星科学連合2016年大会, 千葉幕張.